尿路感染症治療中におけるSGLT2阻害薬の継続可否は?

【質問】UTI治療中の場合にDMで内服中のSGLT2阻害薬は中止することを確認すべきでしょうか。 UTIの重症度やDMのコントロールの状況にもよると思うのです、違う意見もあり、他のご施設ではどのように対応されていらっしゃるのかお伺いした質問させて頂きました。よろしくお願いいたします。

【A】SGLT2阻害薬の使用中にUTIを発症しても、症状や重症度が軽度であれば継続可能ですが、腎盂腎炎やフルニエ壊疽などの重篤感染が疑われる場合は中止を検討し、患者の全身状態や血糖コントロールを踏まえて総合的に判断する必要があると考えられます。


AI-PHARMAの先生からの回答①

https://aifaq.aipharma.jp/user/#/searchBulletinBoard?id=1755&code=sWBX58LNPAHy387

Journal Club 2023.10.02  SGLT-2阻害薬は重症尿路感染症のリスクを高めるのか?東京医科歯科大学病院 総合診療科 作成:関口 大樹、監修:山田 徹

をみると、SGLT2-Iはリスクを高める危険性は少ないと考えられ、心不全治療中での投与であれば、継続が重要かと思われます。DM治療であれば、治療の必要性を検討したうえでの継続投与を考えていけばと、自分なりに検討いたします。


AI-PHARMAの先生からの回答②

私自身も尿路感染症の程度によりSGLT阻害薬を中止すべきかどうか大変悩みます。

先生もすでに調べられておられると思いますが、少しでも参考になれば幸いです。

ジャディアンスの各種治験(2型DM、慢性心不全、慢性腎臓病)の際にProtocolで尿路感染発生時の治験薬中止、減量の規定はなかったそうです。また、CTCAEのGrade基準に関する規定もなかったそうです。(メーカー回答)

その上で、一つポイントになるのは腎盂腎炎、ウロセプシスフルニエ壊疽などの重篤な感染症に至っているかどうかだと思います。

ジャディアンスの各種適正使用ガイド(添付ファイル参照)において「重篤な尿路感染(例えば、腎盂腎炎、尿路性敗血症)及び性器感染が認められた場合には、本剤投与を中止してください。特に、フルニエ壊疽が疑われる場合は、外科的創開放・デブリド マンと全身管理が必要となるため、診断がつき次第、できる限り早急に、⼿術と集中治療が可能な施設と連携してください。」と記載があります。

DMのコントロール状況も検討する必要はあると思いますが、第一は尿路感染症の重症度が重要であると思います。膀胱炎や前立腺炎などの内服抗菌薬で治療可能なものについては中止せず、継続も考慮できるのではないかと思います。何かの参考になれば幸いです。


UTI(尿路感染症)治療中にSGLT2阻害薬を中止すべきかどうかは、以下のような複数の観点から総合的に判断する必要があります。

  • 感染症の重症度

  • 血糖コントロールの状態

  • 脱水のリスク

  • 全身状態(発熱や食事摂取状況を含む)

軽症の膀胱炎で、血糖値や全身状態が安定している場合は、SGLT2阻害薬を継続しながら抗菌薬治療を行うこともあります。一方で、重症の腎盂腎炎やフルニエ壊疽が疑われるケースや発熱や嘔吐などによって食事摂取が困難な「シックデイ」には、SGLT2阻害薬の休薬を検討する場面も出てきます。

SGLT2阻害薬はその作用機序から、性器・尿路感染症のリスクを高めるとされています。そのため、処方前後には必ず尿検査を行い、患者さんには適切な清潔保持や、症状が出現した場合の早期受診を指導することが必要です。

また、感染症リスクを下げる一つの方法として、血糖コントロールの見直しも重要です。必要に応じて、他の血糖降下薬への切り替えやインスリン治療の再評価も含めた、より広い視点での治療計画が求められます。

最終的な方針については、糖尿病専門医や泌尿器科医と密に連携をとりながら、個々の患者に応じて柔軟に対応していく必要があると考えられます。

https://okayama-naika.com/wp-content/uploads/2022/10/fd6f480addc219f02fdcf0219ec120c2.pdf

日本糖尿病学会:SGLT2阻害薬の適正使用に関するRecommendation. 2022年7月26日 改訂

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