【質問】コルヒチン錠0.5mgの頓服使用に関して。〈痛風発作の予防〉通常、成人にはコルヒチンとして1日0.5〜1mg、発作予感時には1回0.5mgを経口投与する。添付文書は2回目も服用できるような書き方ですが、2回目はどのように使用するのが正解なのでしょうか。
1. 結論
- コルヒチンの警告と用法・用量の記載は2026年に二段階で変わりました。2026年2月24日の改訂指示(医薬安発0224第1号)で警告が新設され、2026年6月2日に用法及び用量(6項)が改訂されました。ご質問の〈予防〉は現行の記載ですが、〈緩解〉は大きく変わりました。旧7項にあった「1日量は1.8mgまでの投与にとどめることが望ましい」は2月の改訂で削除されました。6月の改訂で、6項に「1日の総投与量は1.5mgを超えないこと」が入りました1) 2)。
- 予感時0.5mgの後の「2回目をどう使うか」を明示した規定は、添付文書にもガイドラインにもありません1) 3)。
- 「発作予感時には1回0.5mg」は〈予防〉の用法に並ぶ選択肢で、加算を示す語はありません。頓用で治まらず発作が成立したら、以降は〈緩解〉の用法に移る、という理解が現行添文の構造に沿います。このとき、予感時に飲んだ0.5mgも1日の総投与量(1.5mgまで)に含まれると考えられます1)。
- ガイドラインの〈緩解〉は「まずコルヒチン2錠、その1時間後にさらに1錠」(合計1.5mg)で、新しい添文の上限と一致します1) 3)。
2. 背景
- 2026年1月31日までに、承認された用法・用量の範囲内でありながら1日1.8mgを超える高用量投与後に死亡に至った症例が8例報告されました。旧6項(1日3〜4mgを6〜8回分割)と旧7項(1日1.8mgまでが望ましい)の量が食い違い、2026年の一連の改訂で整理されました。1.8mg超の8例とは別に、2月の改訂理由には低用量(1日量1mg)ながら重度腎機能障害があった症例も挙がっています2)。
- 旧版では〈痛風発作の緩解及び予防〉と一括りでしたが、現行は〈痛風発作の緩解〉と〈痛風発作の予防〉に分割されました。この区分が、ご質問の「2回目」を考える鍵です1) 2)。
3. 一次資料での確認
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【現行の用法及び用量】逐語. 〈痛風発作の緩解〉「通常、成人にはコルヒチンとして1回0.5〜1.0mgを1日1回又は2回経口投与する。ただし、1日の総投与量は1.5mgを超えないこと。」〈痛風発作の予防〉「通常、成人にはコルヒチンとして1日0.5〜1mg、発作予感時には1回0.5mgを経口投与する。」痛風の部分はこれが全文で、ほかに急性発作時の別の用法(追加投与や時間間隔の指定)は6項に一切ありません。ただし7.1は、〈緩解〉の1回量、1日量及び投与期間について「国内の最新のガイドラインを参考にすること」としています1)。
【旧記載との対比】. 改訂前は「通常、成人にはコルヒチンとして1日3〜4mgを6〜8回に分割経口投与する」でした。現行電子添文の全文を確認すると、「1.8mg」の数値は用法用量にも関連注意にも一切登場しません。〈緩解〉の1日の上限は1.5mgです。1.8mgが現行で唯一あるのは15.1.1その他の注意の海外臨床試験の記述(低用量1.8mg/日群と高用量4.8mg/日群で有効性に差がなく、高用量群で胃腸系有害事象が多かった)です1) 2) 4)。
【ご質問への直接の回答】加算か枠内かは明記されていない. 原文は「通常、成人にはコルヒチンとして1日0.5〜1mg、発作予感時には1回0.5mgを経口投与する。」と、2つの投与法を読点で並列しています。「追加」「併せて」といった加算を示す語は原文にありません。ただし加算の可否を明示した文もなく、IFの「用法及び用量の設定経緯・根拠」は「該当資料なし」です。一次資料上は明記されていない、と整理するのが正確です1)。
【実務上の道筋】2回目以降は〈緩解〉の用法へ. 予感時0.5mgを1回服用後、発作が成立したら、以降は〈緩解〉の用法(1回0.5〜1.0mg、1日1〜2回、予感時の0.5mgも含め総量1.5mgまで)の枠内での投与になると考えられます。ガイドラインの「翌日以降に残存する疼痛に対しては、1〜2錠/日を投与し、疼痛が改善したら速やかに中止する」もこの緩解期の記載で、予兆時頓用の反復を認めたものではありません1) 3)。
【ガイドライン】発症12時間以内に1mg、その1時間後に0.5mg. 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版[2022年追補版]p.15には「Terkeltaubらは低用量投与法(コルヒチン1.2mgを服用し、その1時間後に0.6mgを服用)は高用量投与と有効性が変わらないことを示した…わが国ではコルヒチンは1錠0.5mgであり、まずコルヒチン2錠、その1時間後にさらに1錠を投与する。翌日以降に残存する疼痛に対しては、1〜2錠/日を投与し、疼痛が改善したら速やかに中止する。」とあります。海外の1.2mg+0.6mg=1.8mgを、日本の0.5mg錠に合わせて1.0mg+0.5mg=1.5mgへ切り下げて換算しています。この量は、添文の新しい上限と一致します1) 3)。
【重要】ガイドライン自身が限界を明記している. 同p.15には「この検討は関節炎発症12時間以内の症例を対象としており、コルヒチンを合計1.8mg投与したあとの治療法については検討していない。」とあります。追加投与を考えるとき、この一文が最も誠実な根拠になります3)。
【誤解の訂正】「1時間ごとに0.5mg」という用法は、改訂前の添文にもない. 旧記載は「疼痛発作が緩解するまで3〜4時間ごとに投与する」と「1日量は1.8mgまでの投与にとどめることが望ましい」で、2026年2月の改訂で削除されました。混同されやすいのはガイドラインの「1時間後に0.5mg」(1回限り)で、「ごと(反復)」ではありません2) 3)。
【予兆の定義】添文7.5. 「発作3〜4時間前に先行する予兆を感知したらできるだけ早く服用することが望ましい。」とあります。予感時頓用の「いつ飲むか」を示す唯一の時間規定です。〈緩解〉側の7.3には「痛風発作の発現後、服用開始が早いほど効果的である」とあります1)。
【警告と併用禁忌】. 警告は2026年2月の改訂指示で新設され、当初の回避指示は「1日量1.5mgを超える高用量の投与、又は重度腎機能障害患者への投与は、臨床上やむを得ない場合を除き避けること。」でした。6月の用法及び用量改訂に合わせ、現行(2026年6月改訂 第4版)は次の文言です。「本剤の1日量1.5mgを超える高用量を投与した患者及び重度腎機能障害患者において、重篤な中毒症状(胃腸障害、血液障害、腎障害、肝障害等)を発現し、死亡に至った症例が報告されている。本剤の承認された用量を超えて投与しないこと。」警告は続けて、重度腎機能障害患者への投与を、臨床上やむを得ない場合を除き避けるとしています。併用禁忌は「肝臓又は腎臓に障害のある患者に使用する場合」に限る条件付きです。クラリスロマイシン、イトラコナゾール、リトナビル含有製剤、シクロスポリン等が対象です。肝腎機能が正常なら併用注意で、減量あるいは低用量から開始するなどの注意が求められます。「クラリスロマイシンは一律併用禁忌」は誤りです1) 2)。
【コルヒチンカバー】. ガイドラインp.16には「予兆時にコルヒチン0.5mgを頓服させることがある。また、コルヒチン0.5〜1.0mg/日を尿酸降下薬開始後3〜6か月間併用することがある(コルヒチンカバー)。」とあります。添文7.4は「長期間にわたる痛風発作の予防的投与は、血液障害、生殖器障害、肝・腎障害、脱毛等重篤な副作用発現の可能性があり、有用性が少なくすすめられない」とし、長期化には注意が必要です1) 3)。
4. 関連した質問
- Q: 予感時の1錠で治まらない場合、2錠目を飲んでよいのですか?
A: それを直接認める記載は、添文にもガイドラインにもありません。 発作が成立したなら、以降は〈緩解〉の用法(1回0.5〜1.0mg、1日1〜2回、予感時の0.5mgも含め総量1.5mgまで)に移る形になります。予兆時頓用を反復するのではなく、段階が変わったと捉えるのが現行添文の構造に沿った理解だと思います1) 3)。
- Q: 「発作予感時1回0.5mg」は1日0.5〜1mgの枠内ですか、追加ですか?
A: 一次資料に明記がありません。 原文は読点で並列された一文で、加算を示す語はありません。ただし加算の可否を規定した文もなく、IFの設定根拠も「該当資料なし」です。確実な回答には、高田製薬への問い合わせが望ましいところです1)。
- Q: 1日1.8mgまで使えると覚えていましたが?
A: 2026年2月24日の改訂指示で1.5mgが警告の上限として示され、2026年6月2日に用法及び用量が改訂されました。 現行添文の用法用量や関連注意に1.8mgは登場しません。背景には、承認用量内でも1.8mg超の投与後に死亡した8例の報告があります。2026年6月より前の版の電子添文には旧用法が載っているため、参照時は版数の確認が必要です1) 2)。
- Q: 発作が起きたときは、まず何錠飲むのですか?
A: ガイドラインはまず2錠(1mg)、その1時間後にさらに1錠(0.5mg)としています3)。合計1.5mgで、添文の1日上限と一致します。予感時に1錠飲んだ日は、その1錠も1日の総投与量に含まれると考えられます1)。翌日以降に残る疼痛には1〜2錠/日、疼痛が改善したら速やかに中止します。なお「1時間ごと」ではなく「1時間後に1回だけ」です3)。
5. まとめ
- 警告と用法・用量の改訂は二段階。2026年2月24日に警告新設、2026年6月2日に用法及び用量を変更。〈緩解〉は「1回0.5〜1.0mgを1日1回又は2回、1日総投与量は1.5mgを超えない」に。旧7項の1.8mgは2月に削除された
- 背景に、承認用量内でも1日1.8mg超の投与後の死亡8例(これとは別に、低用量でも重度腎機能障害の症例あり)。旧6項と旧7項の量が食い違っていた
- 予感時0.5mgの後の「2回目をどう使うか」の規定は添文にもガイドラインにもない。加算か枠内かも明記されていない
- 実務上は、発作が成立したら〈予防〉の頓用から〈緩解〉の用法へ移ると捉えるのが構造に沿う。予感時の1錠もその日の総投与量(1.5mgまで)に含まれると考えられる
- ガイドラインの緩解はまず2錠、1時間後にさらに1錠(合計1.5mg)。翌日以降は1〜2錠/日、改善したら速やかに中止
- 「1時間ごとに0.5mg」という用法は改訂前の添文にもない。旧記載は3〜4時間ごとで、現在は削除
- 併用禁忌は「肝臓又は腎臓に障害のある患者に使用する場合」に限る条件付き。一律禁忌ではない
6. 参考文献
- コルヒチン錠0.5mg「タカタ」電子添付文書(2026年6月改訂 第4版)・インタビューフォーム(2026年6月改訂 第8版). 高田製薬 PMDA/JAPIC/IF
- 高田製薬. 適正使用のお願い ―コルヒチンの用法及び用量について―(2026年2月) PDF/厚生労働省 医薬安発0224第1号(令和8年2月24日)
- 日本痛風・尿酸核酸学会. 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版[2022年追補版](p.14-16) Minds
- Terkeltaub RA, et al. Arthritis Rheum. 2010;62(4):1060-1068. PMID:20131255(AGREE試験)









