【Q】閉塞隅角緑内障の患者にはニトロペン舌下錠が禁忌であるが、代替薬はあるか?

【質問】閉塞隅角緑内障禁忌、前立腺肥大禁忌など疾患禁忌のある薬剤がありますが、添付文書には禁忌項目しか載っておらず、その場合どうすればいいのか、対応法・代替法は載っていないと思います。こういった際の代替案を調べるツールとして、みなさんは何を活用されていますか?緑内障患者にニトロペンが処方され、もし閉塞だった場合の代替薬はないのでは…と気になったのですが、なにか代替に推奨される薬剤はありますか?

 

【A】「使用したい薬剤が禁忌であった場合、代替薬はどのように選択すればいいのか」ということですが、薬剤の作用機序が類似していれば、禁忌薬に該当する薬剤も同じである可能性が高いと考えられます。そのため、代替薬は作用機序の異なる薬剤を選択する必要があります。以下にニトロペンの例を記載します。

「ニトロペン」などの硝酸薬は脈絡膜 (網膜の下にある膜のことであり、網膜の機能をサポートする)の血管を拡張させ、それにより容積が増大するため、眼圧が上昇します。このことから、閉塞隅角緑内障の患者にはニトロペンの服用は禁忌となっています。ただし、これまでに「ニトロペン」や「ニトロール」で眼圧が上昇した症例は報告されていません (独立行政法人医薬品医療機器総合機構「医薬品副作用データベース」) 。禁忌に該当となった経緯は類似薬である「亜硝酸アミル」で一過性の眼圧が上昇したため、一律に禁忌に設定されているようです。

閉塞隅角緑内障の患者に対する「ニトロペン」の代替薬に関しては、明確な回答はありません。患者の病態に合わせて、個別に提案する必要があるかと思います。
例えば、「ニトロペン」、「ニトロール」などの硝酸薬は閉塞隅角緑内障の患者には禁忌です。しかし、禁忌の理由は、これらの薬剤が眼圧上昇や緑内障の悪化が認められたと報告されているわけではなく、類似薬である亜硝酸アミルに合わせて禁忌としています。そのため、「閉塞隅角緑内障の悪化のリスク」と「頓服投与である硝酸薬の必要性」を考慮して、提案することが必要と考えられます。

 

亜硝酸アミル「AFP」 
狭心症
1回1管(亜硝酸アミル0.25mL)を、被覆を除かずそのまま打ち叩いて破砕し、内容を被覆に吸収させ、鼻孔に当てて吸入させる。

禁忌
閉塞隅角緑内障の患者[眼圧を上昇させるおそれがある。]
(亜硝酸アミル「AFP」  添付文書)

 

ニトロール錠5mg 
閉塞隅角緑内障の患者
硝酸剤は脈絡膜(硝子体をとりまく膜)の血管を拡張し、その容積増大によって眼圧を上昇させるといわれている。閉塞隅角緑内障は緑内障の中でも重篤で失明の危険性が高いため、特に禁忌とした。亜硝酸アミルの投与により一過性に眼圧が上昇したとの報告があり、以来硝酸・亜硝酸製剤は緑内障に禁忌とされている。しかし、現在のところ、硝酸イソソルビドの投与で明らかな眼圧上昇や緑内障の悪化が認められたとの報告はない。
(ニトロール錠5mg インタビューフォーム)

 

ニトロペン舌下錠0.3mg
閉塞隅角緑内障の患者 [眼圧を上昇させるおそれがある。
(ニトロペン舌下錠0.3mg  添付文書)

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