【質問】べピオ、エピデュオ、デュアック配合ゲルはいずれも過酸化ベンゾイルを含有していますが、それぞれの貯法の温度が異なるのは何故でしょうか。
【A】エピデュオゲルとベピオゲルは過酸化ベンゾイルを含有していますが、安定性試験の条件が異なるため、保管温度に差があります。ベピオゲルは25℃の条件下で安定性試験が行われたため、「25℃以下に保存すること」とされています。一方、エピデュオゲルは30℃の条件下で安定性試験が行われ、過酸化ベンゾイルとアダパレンが室温保存でも安定性を保てることが確認されたため、室温保存が可能となっています。
これに対し、デュアック配合ゲルは、室温又は25℃で保存した場合、含有されているクリンダマイシンが数ヶ月で規格外となるため、2〜8℃での保存が必要とされています。
以上のように、同じ有効成分を含有していても、配合されている成分や安定性試験の方法によって、保管温度に差が生じています。詳細は下記の通りとなります。
ベピオゲル2.5%
一般名:過酸化ベンゾイル
有効期間:24ヶ月 (ローションは24ヶ月)
貯法:冷凍を避け、25℃以下に保存すること
ベピオゲル2.5%は、承認時に25℃/40%RHの条件下で24ヶ月間行われた長期保存試験において規格内であったため、貯法は25℃以下、有効期間は24ヶ月と設定されています。昼光色や蛍光ランプ下でポリエチレンチューブに保存した際は規格内でしたが、同様の条件下で石英管に保存した際は類縁物質の増加が認められました。このことから、過酸化ベンゾイルは光に弱い物質である可能性があります。
エピデュオゲル
一般名:アダパレン/過酸化ベンゾイル
貯法:室温保存
有効期間:24ヶ月
エピデュオゲルは、30℃で行った中間的試験において12ヶ月間の安定性が認められています。インタビューフォームに記載されている有効期間は24ヶ月となっていますが、これは安定性データの評価に関するガイドラインの「原薬又は製剤のリテスト期間又は有効期間の推定のためのデータ評価のフローチャート」に記載されているY=2X (Y:提示するリテスト期間又は有効期間、X:長期データがカバーする期間)に基づいて算出されたものと考えられます。よって、エピデュオゲルの貯法は室温保存、有効期間は24ヶ月と設定されています。
Y=2Xとは?
例えば、原薬や製剤の長期安定性試験を12ヶ月間実施し、その結果から安定性が確認された場合、Xは12ヶ月になります。
Y = 2X の式に当てはめると、Y = 2 × 12 = 24 となります。つまり、12ヶ月間の長期安定性試験データから、リテスト期間又は有効期間を24ヶ月間に設定できるという目安が得られます。
Y=2Xの式は、限られた期間の長期安定性試験データから、より長いリテスト期間や有効期間を推定するための簡便な計算方法です。
デュアックゲル
一般名:クリンダマイシンリン酸エステル水和物/過酸化ベンゾイル
貯法:2〜8℃で保存
有効期間:3年
クリンダマイシンリン酸エステル水和物と過酸化ベンゾイルの長期保存試験はそれぞれ25℃/60%RHにて行われています。同様に25℃/60%RHにて行われた加速試験において、6ヶ月目でクリンダマイシンリン酸エステル水和物が規格外となっています。一方、2〜8℃で行った長期保存試験では、36箇月間規格内という結果が得られています。このことから、デュアック配合ゲルの貯法は2〜8℃、有効期間は3年間と設定されていると考えられます。