偽痛風患者のコルヒチン投与における適切な用量設定と腎機能調整は?

【質問】偽痛風に対するコルヒチンの使い方について教えてください。偽痛風と診断された方にコルヒチンが処方されたが、使い方がわからず困っています(1回1錠1日3回毎食後)。中等度〜高度腎機能障害がある場合には減量も必要と思われたのですが、判断材料が少なく根拠のある提案ができず悩んでいます。用法用量、腎機能による用量調整の根拠、終了の判断基準などについてご教示ができれば幸いです。よろしくお願いいたします。

【回答】偽痛風に対するコルヒチンの急性期治療は、発症後24時間以内に開始し、初日は0.5~0.6mg錠を分割投与で最大1.8mgまで、その後は0.5~0.6mgを1日2回投与することが推奨されています。腎機能障害時は用量調整が必要で、中等度低下(eGFR 30~50)では通常量の50%に減量、高度低下(eGFR <30)では0.3mg/日から開始し週2回までの投与とします。治療期間は通常5~7日間で症状改善後に終了しますが、年3回以上の頻回再発例では0.5mgを1日1~2回の予防的持続投与を考慮します。詳細は下記を確認してください。

偽痛風に対するコルヒチン療法の推奨用量・用法について

急性期の投与量は、低用量が推奨されています。発症後24時間以内に開始し、初日は0.5~0.6mg錠を分割投与で最大1.8mgまでとし、その後は0.5~0.6mgを1日2回(朝夕)投与することが推奨されています。(Front Med (Lausanne) . 2024;11:1327715) もちろん、0.5mgを1日3回(毎食後)投与するケースも常用量に入っているため、問題ないと考えられます。

また、コルヒチン計1.8 mgの低用量群と4.8 mgの高用量群を比較した試験では、低用量で高用量と同等の疼痛軽減効果が得られ、副作用は有意に少ないことが示されています。(Am J Med. 2022;135(1):32-38)

腎機能による用量調整について

コルヒチンは一部が腎排泄されるため、腎機能低下時には体内に蓄積しやすく、副作用リスクが高まります​。(Ther Adv Musculoskelet Dis. 2012;4(2):121-131)

そのため腎機能障害時の用量調整については、以下が示されています
・中等度低下(eGFR 30~50 mL/分):通常量の50%程度に減量
・高度低下(eGFR <30 mL/分):可能な限り使用を控える、必要な場合は0.3mg/日から開始し、週2回までの投与に留める

(Am J Med. 2022;135(1):32-38)

患者の年齢、併用薬、肝機能なども影響するため、個々の全身状態を考慮した慎重な調整が必要と考えられます

終了の判断基準について

急性偽痛風発作に対するコルヒチン療法は、症状が十分改善した時点で中止します​

コルヒチンの一般的な副作用は、下痢、腹痛、吐き気、嘔吐などの消化管症状です。しかし、これらの症状は低用量であれば、患者では発生する可能性が低いとされています。

偽痛風の関節炎は通常、数日~1週間程度で自然軽快することが多く​、適切に治療すれば5~7日間ほどのコルヒチン内服で炎症がほぼ鎮静化するのが一般的です。そのため、症状消失後に漫然とコルヒチンを続ける必要はなく、一旦中止しても問題がないとされています。特に初回の発作や発作頻度が少ない患者では、症状消失をもってコルヒチン治療を終了し、維持的な投与は行わないのが通常とされています。 (Front Med (Lausanne) . 2024;11:1327715.)

年間に3回以上の偽痛風発作を起こすような頻回再発例では、コルヒチン0.5 mg程度を1日1~2回持続投与する予防策が提案されています。(Front Med (Lausanne) . 2024;11:1327715.)

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