セフゾンとビオフェルミン(Rではない)、2時間空ければ問題ない?

【質問】セフゾンとビオフェルミンは併用するとビオフェルミンの効能が減弱しますが、やむを得ない場合は2時間以上空ければ問題ないでしょうか?

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1. 結論

「セフゾンと通常ビオフェルミンを2時間以上空ければ問題ない」と断定できる根拠は、添付文書・インタビューフォーム・直接比較した臨床試験の資料などからも確認できません。セフジニルの血中半減期は1.6〜1.8時間と短いですが、小児2例の投与中便検体から0.99〜254μg/gのセフジニルが検出された報告があり、腸管内で生菌製剤が受ける抗菌薬曝露は血中半減期だけでは判断できないといえます1) 2)

抗菌薬投与中の整腸目的なら、時間差服用にこだわるよりも、セファロスポリン系を含む抗菌薬投与時の効能・効果が添付文書に明記されているビオフェルミンRへの切り替えを提案するのが現実的です3)

どうしても通常ビオフェルミン(配合散・錠剤)を併用するなら、「2時間以上ずらす対応は、効果を保証する方法ではなく、同時服用を避けるための現場での対応になる」と説明するのが妥当と考えられます4) 5)


2. 背景

セフジニルは経口セフェム系抗菌薬で、吸収されなかった薬剤などにより、腸管内で生菌製剤が抗菌薬に曝露される可能性があります。同じセフジニルでも、鉄剤との併用には「投与3時間以上空ける」、アルミニウム・マグネシウム含有制酸剤との併用には「投与2時間以上空ける」と具体的な時間差ルールが添付文書に明記されています1)。これはセフジニル自体の吸収低下を避けるためのものであり、生菌製剤を腸管内の抗菌薬曝露から守るものとは別問題です。

一方、乳酸菌・ビフィズス菌製剤との時間差服用や併用注意は、セフジニル側の添付文書・インタビューフォームにも、ビオフェルミン配合散・錠剤側の添付文書・インタビューフォームにも記載がなく、「2時間」は経験則にとどまります1) 4) 5)。さらに、ビオフェルミンには複数の製剤があり、ビオフェルミン配合散はラクトミン+糖化菌、ビオフェルミン錠剤はビフィズス菌、ビオフェルミンR錠/散は耐性乳酸菌で、製剤の取り違えが起きやすいといえます3) 4) 5)


3. 報告

セフジニル添付文書・インタビューフォームの記載
鉄剤との同時服用で吸収が約10分の1まで低下するため投与3時間以上、アルミニウム・マグネシウム含有制酸剤との併用では投与2時間以上空けることが明記されています。一方、乳酸菌・ビフィズス菌製剤との併用注意・時間差記載はありません1)

セフジニルの薬物動態
健康成人空腹時100mg投与でTmax 3.5±0.5時間、t1/2 1.44±0.12時間、食後でTmax 4.3±0.5時間、t1/2 1.48±0.12時間。尿中未変化体排泄率は投与24時間後までに約30%で、胆汁中移行はほとんど認められず腸肝循環の影響はないとされます1)

セフジニルの便中濃度(PMID:1495195)
小児2例の投与中便検体から0.99〜254μg/gのセフジニルが検出された報告があります。少なくとも一部症例では、血中半減期から想定する以上に腸管内で生菌製剤が抗菌薬に曝露されることを示しており、「血中半減期が約2時間だから2時間空ければよい」というわけではありません2)

通常ビオフェルミン製剤の添付文書・インタビューフォーム
ビオフェルミン配合散・ビオフェルミン錠剤とも、効能・効果は「腸内菌叢の異常による諸症状の改善」で、抗菌薬投与時の効能や時間差服用の記載はありません。インタビューフォームでも相互作用は「設定されていない」とされ、抗菌薬投与中でも効くように設計された製剤ではありません4) 5)

ビオフェルミンR添付文書・インタビューフォーム
効能・効果は「ペニシリン系、セファロスポリン系、アミノグリコシド系、マクロライド系、テトラサイクリン系、ナリジクス酸投与時の腸内菌叢異常による諸症状の改善」と明記され、抗菌剤存在下でも増殖し、抗生物質を不活化しないとされています。インタビューフォームのMIC表では、複数のセファロスポリン系抗菌薬に対して高いMIC値が示されています。ただし、セフジニル単独のMICデータは表に掲載されていないため、セフジニル個別の感受性を表から確認することはできません3)

ISAPP 2024 clinician resource
ISAPP(International Scientific Association for Probiotics and Prebiotics)の資料では、細菌性プロバイオティクスの抗菌薬による不活化を減らす目的で、服薬アドヒアランスが低下しない範囲なら2時間程度間隔を空けるのが慎重な対応かもしれない、とされています。ただし、投与間隔を直接比較した研究はなく、適切な方法は不明です6)

地域連携プロトコル・薬局ヒヤリ・ハット事例
地域薬局の事前合意プロトコルでは、抗菌薬の併用有無によるビオフェルミン⇄ビオフェルミンRの変更を疑義照会簡素化対象にしている例があり、セフカペン処方時にビオフェルミン錠からビオフェルミンR錠へ変更する具体例が示されています。日本医療機能評価機構の薬局ヒヤリ・ハット事例でも、ペニシリン系抗菌薬併用時に通常ビオフェルミンからビオフェルミンRへ変更した事例や、ニューキノロン系併用時(R適応外)にビオフェルミンRから通常ビオフェルミンへ変更した事例が報告されており、抗菌薬の種類に応じた製剤切り替えが実務上行われています7)


4. 関連した質問

Q1. ビオフェルミンRはどんな抗菌薬に対応しているのか?
A: 添付文書上、ペニシリン系、セファロスポリン系、アミノグリコシド系、マクロライド系、テトラサイクリン系、ナリジクス酸投与時の腸内菌叢異常による諸症状の改善が効能・効果です3)。セフジニルはセファロスポリン系のため適応内です。ニューキノロン系・ST合剤等は適応外です。

Q2. 通常ビオフェルミンを併用する場合、2時間以上の間隔は完全に無意味か?
A: 「無意味」と断定する直接比較試験もありません。ISAPPは「2時間程度間隔を空けるのが慎重な対応かもしれない」としつつ、最適間隔は不明としています6)。実臨床では「やらないより一定の理にかなう対応」と考えることもできますが、「効果を保証する方法」とは説明しないのが正確です。

Q3. ビオフェルミン配合散とビオフェルミン錠剤は同じものか?
A: 異なります。ビオフェルミン配合散はラクトミン+糖化菌の配合製剤、ビオフェルミン錠剤はビフィズス菌製剤です4) 5)。処方鑑査時の取り違えが起きやすいため、剤形と一般名を必ず確認します。


5. まとめ

  • 「2時間以上空ければ問題ない」という根拠は、添付文書・インタビューフォームにも存在しない。
  • 抗菌薬投与中の整腸目的なら、時間差ではなくビオフェルミンRへの切り替えを第一選択として提案。
  • 通常ビオフェルミンを継続する場合は「2時間以上ずらすのは効果を保証する方法ではなく、同時服用を避けるための実務上の工夫にとどまる」と説明。

6. 参考文献

  1. セフゾンカプセル/細粒 添付文書・インタビューフォーム. LTLファーマ
  2. 小児における経口セフェム系抗菌薬の便中排泄および腸内細菌叢への影響に関する検討. Jpn J Antibiot. 1992. PMID:1495195
  3. ビオフェルミンR錠/散 添付文書・インタビューフォーム. ビオフェルミン製薬
  4. ビオフェルミン配合散 添付文書・インタビューフォーム. ビオフェルミン製薬
  5. ビオフェルミン錠剤 添付文書・インタビューフォーム. ビオフェルミン製薬
  6. International Scientific Association for Probiotics and Prebiotics (ISAPP). Antibiotic-probiotic dosing gap: clinician resource. 2024
  7. 地域連携 疑義照会簡素化プロトコル(該当地域・施設例)/日本医療機能評価機構 薬局ヒヤリ・ハット事例. 抗菌薬併用時のビオフェルミン製剤切り替え事例
  8. レベニン散/ラックビーR散 添付文書(耐性乳酸菌製剤の比較用). 武田テバ薬品/興和
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