【質問】便の色、尿の色が変わる薬剤について、その機序を教えてください。
【A】便が着色する薬剤について、添付文書等に記載があり、かつ作用機序が明確な薬剤を以下に示します。
鉄が含まれている薬剤、成分自体に色がある薬剤などが、着色便となる可能性があると考えられます。
フェロミア錠50mg・顆粒8.3%
本剤の投与により便が黒色を呈することがある。(添付文書)フェロミアの成分はクエン酸第一鉄ナトリウムである。体内において未吸収の鉄が排泄される際に、鉄が酸化したり、食物と反応することで、黒色便になる。
ピートルチュアブル錠
本剤の投与により便が黒色を呈することがある。(添付文書)ピートルチュアブル錠の成分はスクロオキシ水酸化鉄であり、鉄を含有している。フェロミアと同様に未変化体の鉄により、黒色便となる。
※便が黒色化することにより、便潜血の肉眼的観測が難しくなったり、潜血反応で偽陽性となる可能性がある。便潜血検査は、グアヤック法や免疫学的試験法で実施する。
フェロ・グラデュメット錠
本剤の投与により,便が黒色を呈することがある.(添付文書)成分は乾燥硫酸鉄徐放錠であり、鉄を含有しているため、未吸収の鉄により、黒色便となる。
リオナ錠
本剤の投与により便が黒色を呈することがある。(添付文書)
成分がクエン酸第二鉄水和物錠であるため、未吸収の鉄により、便が黒色化する。
セフゾン細粒小児用、カプセル
粉ミルク、経腸栄養剤など鉄添加製品との併用により、便が赤色調を呈することがある。(添付文書)腸の中で鉄イオンとキレート結合し、吸収低下がおこり、便が赤くなる。
メサフィリン(成分 : 銅クロロフィリンナトリウム配合剤)
胃炎・消化性潰瘍治療薬
この薬の服用中に便が緑色になることがありますが、この薬の成分によるもので心配ありません。(添付文書)成分 : 銅クロロフィリンナトリウム 7.5mg、プロパンテリン臭化物3.75mg、ケイ酸マグネシウム160mgを含有する緑色
→添加物に着色剤は使用していない。成分が緑色のため、緑色便となる。
次硝酸ビスマス (止瀉剤)
本剤の服用によって便の色が黒くなることがある(ビスマスが黒色の硫化ビスマスになるため)。(添付文書)
リファンピシン
だいだい赤色~赤褐色の結晶又は結晶性の粉末である。(添付文書)尿、便、唾液、痰、汗、涙液がリファンピシン及びその代謝物により橙赤色等に着色する。なお、血清も同様の着色を示す。また、ソフトコンタクトレンズが変色することもある。(添付文書)
→成分、代謝物により橙赤色に着色する。
クレメジン
便の色自体は着色しない(黒くならない)が、便の表面にクレメジンの直径0.2〜0.4mmの球形状炭素が、形状を維持したまま、便中に排泄されるため、粒状物質が目視で確認できる。過去に薬剤師国家試験にも出題された。「墨汁で染めたような黒色の便となるため、患者が驚かないように説明する。」→×を選ばせる問題。第103回薬剤師国家試験 問196〜197