【Q】メジコン (デキストロメトルファン) はドーピング禁止物質か?

【質問】メジコン (デキストロメトルファン)はドーピング禁止物質でしょうか?

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結論

メジコン (成分 : デキストロメトルファン臭化水素酸塩)はドーピング禁止物質ではありません。2025年版WADA禁止表および日本アンチ・ドーピング機構(JADA)の使用可能薬リストにおいて、禁止物質として掲載されていないため、通常の用法・用量であれば競技会中・競技会外ともに使用可能です。

また、過量服用は幻覚や中枢神経抑制などの重篤な副作用を引き起こし、競技パフォーマンスに悪影響を及ぼすため、添付文書の用法・用量を厳守することが重要です。


背景

デキストロメトルファンは、非麻薬性鎮咳薬として広く使用されている医薬品で、延髄の咳中枢に直接作用して咳反射を抑制します。日本では1954年から使用されており、安全性が確立された薬剤として知られています。世界アンチ・ドーピング機構(WADA)は毎年禁止表を更新していますが、デキストロメトルファンは禁止物質リストに含まれていません。一方で、アスリートが使用する感冒薬には注意が必要で、特にエフェドリン類(メチルエフェドリン、プソイドエフェドリン等)は競技会中に監視対象となっています。これらの物質は尿中濃度が特定の閾値を超えるとドーピング違反となるため、アスリートは使用する医薬品の成分を慎重に確認する必要があります。また、近年ではデキストロメトルファンの乱用による健康被害も報告されており、適正使用の重要性が強調されています。


報告

  • WADA禁止表国際基準 (2025年版):世界アンチ・ドーピング機構が発行する2025年版禁止表において、デキストロメトルファンはS0~S9のいずれの禁止カテゴリーにも該当しません。一方、メチルエフェドリンとプソイドエフェドリンはS6興奮薬として、競技会中に尿中濃度がそれぞれ10μg/mL、150μg/mLを超えた場合に禁止と明記されています。この閾値は治療目的での通常使用を考慮して設定されていますが、複数の配合剤を併用すると容易に超過する可能性があるため注意が必要です。
  • 日本アンチ・ドーピング機構(JADA)使用可能薬リスト (2025年版):JADAが公開している「使用可能薬リスト」において、デキストロメトルファン単剤製剤(メジコン錠、メジコン散等)は使用可能薬として明確に記載されています。ただし、同リストでは「総合感冒薬には禁止物質が含まれている可能性が高い」との警告があり、特に市販の咳止め薬にはメチルエフェドリンが配合されている製品が多数存在することが指摘されています。

関連した質問

Q1. 市販の咳止め薬を選ぶ際の注意点は?

A1. 必ず成分表示を確認し、デキストロメトルファン単剤の製品を選択してください。「新○○咳止め」などの名称の総合感冒薬には、メチルエフェドリンやカフェインなどが配合されていることが多いです。不明な場合はスポーツファーマシストに相談することを推奨します。

Q2. 競技会前日に咳がひどい場合の対処法は?

A2. デキストロメトルファン単剤であれば競技会前日・当日でも使用可能です。ただし、眠気やめまいなどの副作用が出る可能性があるため、初めて使用する場合は競技に影響がない時期に試しておくことが望ましいです。また、1回15-30mg、1日最大60mgの用量を守ってください。

Q3. TUE(治療使用特例)申請は必要?

A3. デキストロメトルファンは禁止物質ではないため、TUE申請は一切不要です。ただし、他の禁止物質を含む医薬品を医療上の理由で使用する必要がある場合は、事前にTUE申請が必要となる場合があります。


まとめ

  • 単剤製品の選択:アスリートが咳止めを使用する際は、デキストロメトルファン単剤製品(メジコン錠・散など)が使用できます。総合感冒薬や配合剤は避け、やむを得ず使用する場合は全成分を確認します。
  • 成分確認の徹底:購入前に必ずパッケージの成分表示を確認し、特に以下の成分が含まれていないことを確認します:メチルエフェドリン、プソイドエフェドリン、エフェドリン、フェニルプロパノールアミンなど。これらは競技会中に制限があります。
  • 適正使用の遵守成人では1回15-30mg、1日最大60mgの用法・用量を厳守します。効果が不十分でも自己判断で増量せず、医師・薬剤師に相談してください。過量服用は重篤な副作用だけでなく、ドーピング検査で疑義を持たれる可能性もあります。
  • 記録の保管:使用した医薬品の名称、用量、使用期間を記録しておくことを推奨します。ドーピング検査時に使用薬剤の申告が必要となった場合、正確な情報提供ができます。
  • 専門家への相談:不明な点がある場合は、スポーツファーマシスト、競技団体のアンチ・ドーピング担当者、JADAホットラインなどに積極的に相談してください。「大丈夫だろう」という自己判断は避けるべきです。

参考文献

  • 世界アンチ・ドーピング機構(WADA). 2025年禁止表国際基準. 2025年1月1日発効版.
  • 日本アンチ・ドーピング機構(JADA). 2025年版使用可能薬リスト.
  • 厚生労働省医薬・生活衛生局. デキストロメトルファン含有医薬品の適正使用について(通知). 2024年3月.
  • 日本薬剤師会. アンチ・ドーピングガイドブック2025年版. 東京: 日本薬剤師会; 2025.

更新履歴

  • 初版:2025-07-30
  • 最新更新:2025-07-30
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