【A】インフルエンザワクチン接種の母体および胎児への危険性は妊娠全期間を通じて極めて低いと説明し、ワクチン接種を希望する妊婦には接種する。
現在使用されているインフルエンザワクチンは不活化ワクチンであり、妊婦、胎児に対して問題はなく、約2000例のインフルエンザワクチン接種後妊婦において児に異常を認めていない。
米国における米国疾病予定局(CDC)ガイドラインではインフルエンザ流行期間に妊娠予定の女性へのインフルエンザワクチン接種を推奨している。
妊婦が妊娠初期にインフルエンザに罹患した場合、神経管閉鎖障害や心奇形などの出生児の先天奇形が増えるという報告がある一方、先天奇形と関係がないという報告もある。さらにこれらの奇形はインフルエンザウイルスの直接的な催奇形性ではなく、妊婦の高熱によるものであり、適切な治療(アセトアミノフェンなどの解熱剤の投与)による奇形のリスクは上昇しないとの報告もある。
【産婦人科診療ガイドライン 産科編2014】