【A】現在、「プリミドン」は抗てんかん薬として使用されるケースよりも、海外のガイドラインなどから適応外使用である本態性振戦に対して使われるケースのほうが多いと考えられます。また、「フェノバルビタール」のみで痙攣発作が改善しない患者に対して、「プリミドン」を追加するケースもみられます。
薬理作用については、「プリミドン」は肝臓で、一部 (25%) が「フェノバルビタール」と「フェニルエチルマロンアミド」に代謝されます。「プリミドン」は「フェノバール」に代謝されることで、薬効を示すと考えられますが、「プリミドン」と「フェニルエチルマロンアミド」も同様に抗痙攣作用があると報告されています。
「プリミドン」と「フェノバール」の違い
・両者は半減期が大きく異なっています。「プリミドン」の消失半減期は成人で約8時間ですが、「フェノバルビタール」の消失半減期は50~120時間と非常に長くなっています。よって、「プリミドン」投与時に TDMを行う際は、「フェノバルビタール」のTDMを同時に行うことが必要です。
・現在、本態性振戦に対して、プリミドンが使用されるケースが多く、抗てんかん薬として用いられるケースは少ない。
・「フェノバルビタール」のみで痙攣発作が改善しない患者に対して、「プリミドン」を追加すると改善した報告がある。(Jpn. J. Hosp. 15(2), 139-142, 1990)
・「フェノバルビタール」には抗振戦作用はないが、「プリミドン」は本態性振戦に効果があるため、「プリミドン」自体に抗振戦作用があると考えられている。
本態性振戦に使用される薬剤は?
・「プロパノール」と「プリミドン」は四肢振戦と同等の有効性があり、差異がない。副作用は初期でプロパノール8%でプリミドン32%であるが、長期はプロパノール17%でプリミドンで0%である。短期使用はプロパノール、長期使用はプリミドンと使い分ける。
追加情報
・フェノバルビタールは投与量の45-65%が肝臓で代謝され、主にCYP2C9およびCYP2C19によりp-ヒドロキシフェノバルビタールとなり、さらにグルクロン酸抱合される。
プリミドンの適応
・てんかんのけいれん発作強直間代発作(全般けいれん発作,大発作)
焦点発作(ジャクソン型発作を含む)
・精神運動発作
・小型(運動)発作〔ミオクロニー発作,失立(無動)発作,点頭て んかん(幼児けい縮発作,BNSけいれん等)
(添付文書より)
フェノバルビタールの適応
・不眠症、不安緊張状態の鎮静
・てんかんのけいれん発作
強直間代発作(全般けいれん発作、大発作)
焦点発作(ジャクソン型発作を含む)
・自律神経発作、精神運動発作
(添付文書より)