【Q】口渇の定義とは「口が渇くこと」、「喉が渇くこと」のどちらか。

【質問】抗コリン薬などの副作用として口渇や、高血糖の臨床症状として口渇がありますが、前者は唾液腺分泌低下に伴う「口の渇き」であり、後者は高血糖に伴う浸透圧性利尿の結果による「喉の渇き」と思われますが、口渇の定義は結局どちらでしょうか。

【A】口渇の定義は「口の渇き」や「喉の渇き」の両方に該当すると考えられます。唾液分泌低下に伴う「口の渇き」は口内乾燥と定義されることもあります。

口渇
水を飲みたいという欲望。激しい運動などで発汗したり、塩辛いものを食べたりした時。水分喪失による細胞外液量現象による渇き、塩分過剰摂取による浸透圧性の渇きは飲水中枢を刺激する。口の渇きは見かけの渇きであり口腔粘膜の受容器で感受される
(改変 医学書院 医学大辞典 第2版)

→口渇は「水を飲みたいという欲望」であり、患者の訴えと考えられます。そのため、「口の渇き」や「喉の渇き」の両方に該当すると考えられます。

口渇の定義を以下のようにしている文献もあり、唾液腺分泌低下に伴う「口の渇き」と高血糖に伴う浸透圧性利尿の結果による「喉の渇き」の両方が含まれています。

・口渇は水分を摂取したい欲望
・口腔または咽頭粘膜の乾燥のみではない
・全身組織の水分欠乏に起因する唾液の分泌障害、全身的および系統的疾患に伴うもの、口腔粘膜の乾燥、神経性および心因性によるものがある
(老年歯学 19 : 178-183, 2004)

また、添付文書では抗コリン作用がある薬剤については以下のとおり記載されています。

ベシケア錠2.5mg / ベシケア錠5mg→口内乾燥(28.3%)
ポラキス錠1 / ポラキス錠2 / ポラキス錠3→口渇 (8.98%)
(各社 添付文書)

 

口内乾燥‥口腔内の唾液分泌の低下 (CTCAE分類 4版)

→CTCAE分類からも、唾液分泌低下に伴う「口の渇き」は口内乾燥と定義されると考えられます。

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