【Q】小児に対してレボセチリジン(ザイザル)の用法が分2の理由は?

【質問】ザイザルはなぜ小児だけ分2なのでしょうか?

【A】小児においては肝臓の代謝能が成人よりも高いため、レボセチリジン(ザイザル)の半減期が短くなります。そのため、小児に対してはレボセチリジン(ザイザル)1日1回投与よりも1日2回投与の方が血中濃度が安定します。この理由により小児に対するレボセチリジン(ザイザル)の用法は分2に設定されています。以下に詳細を記載します。

ザイザル錠 添付文書
成人:通常、成人にはレボセチリジン塩酸塩として1回5mgを1日1回、就寝前に経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減するが、最高投与量は1日10mgとする。小児:通常、7 歳以上 15 歳未満の小児にはレボセチリジン塩酸塩として 1回2.5mgを1日2回、朝食後及び就寝前に経口投与する。

→添付文書において、ザイザル錠は小児に対しては、成人と1日投与量は同量であるが、1日2回に分割して服薬する必要があります。

米国 添付文書
6~11歳の小児
2.5mg (1/2 錠又は小さじ 1 杯{5mL}の経口液剤)を1日1回夜に服用。5mgでは成人の約2倍の全身曝露量を示すため、2.5mgの投与量を超えるべきではない。

→米国ではレボセチリジン錠は小児に対しては2.5mg/日(成人の1/2量)であり、1日1回です。

 

レボセチリジン(ザイザル)はラセミ体であるセチリジン (ジルテック)の R-エナンチオマーです。そのため、日本における承認審査においてレボセチリジン (ザイザル)はセチリジン(ジルテック)の臨床データが用いられた部分があります。また、セチリジンの用法を考慮して、臨床試験が設定されました。

ジルテック錠 添付文書
[成人] 通常、成人にはセチリジン塩酸塩として1回10mgを1日1回、就寝前に経口投与する。 なお、年齢、症状により適宜増減するが、最高投与量は1日20mgとする。[小児] 通常、7歳以上15歳未満の小児にはセチリジン塩酸塩として1回5mgを1日2回、朝食後及び就寝前に経口投与する。

→レボセチリジン(ザイザル)と同様にセチリジン(ジルテック)は、小児において、成人と1日量は同じですが、1日2回の分割となっています。

 

日本人小児(高年齢層 : 7〜15歳)にセチリジン5mgを1日2回投与したときのCssmin(定常状態での最低薬物濃度)及びCssmax(定常状態での最高薬物濃度)は、日本人成人に既承認の通常用法・用量(10mgを1日1回)を投与したときのCsssmin〜Cssmaxの範囲内であったが、10mgを1日1回投与した場合はCssmaxが日本人成人の値を上回った。また、外国人小児にセチリジンを1日1回投与したときのCssminは、同じ用量を1日2回に分けて投与した場合と比較して低く、その傾向は特に低年齢層で明らかであった。小児では成人よりもt1/2が低いことから、小児においては1日1回投与よりも同じ用量を1日2回に分けて投与した方が、定常状態時の濃度差が小さくなると考えられた。 (ジルテック 審査報告書 改変)

→セチリジン (ジルテック)は小児において、肝臓の代謝能や腎排泄能の違いなどにより、成人とは異なる薬物動態を示すため、半減期が短くなります。そのため、1日1回投与よりも1日2回投与の方が血中濃度が安定します。

 

外国人小児を対象とした薬力学試験において、ヒスタミン誘発皮膚膨疹及び紅斑の抑制効果を比較した結果、5mg1日2回投与の方が10mg1日1回投与よりも、、強い効果が長時間維持されていることが確認された。(ジルテック 審査報告書)

→セチリジン (ジルテック)は効果に関しても10mg1日1回投与よりも5mgを1日2回投与の方が高い効果が現れると考えられます。

薬物動態と薬力学の点からもセチリジン(ジルテック)の1日2回投与は小児に対して妥当であると考えられます。

レボセチリジン(ザイザル)も同様に小児に対しては1日2回投与が妥当であると考えられます。

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