【A】ST合剤 (バクタ®)を選択するか。 あるいは培養の感受性も考慮して抗生剤を決定する。詳細を以下に示す。
MRSA薬の第一選択薬はバンコマイシンであるが点滴静注しか使用できない。
経口用のバンコマイシンは血中には吸収されないため,
適応は
- 感染性腸炎 <適応菌種> バンコマイシンに感性のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌 (MRSA),クロストリジウム・ディフィシル <適応症> 感染性腸炎(偽膜性大腸炎を含む)
- 骨髄移植時の消化管内殺菌
となっている。
入院中であれば、バンコマイシンの使用が考えられるが、血中濃度を測定できない施設入所者の場合はどうすればいいか。
わが国で認可されている抗MRSA薬は、VCM (バンコマイシン) 、TEIC (テイコプラニン タゴシッド®) 、ABK (アルベカシン ハベカシン®)、LZD (リネゾリド ザイボックス®)、DAP (ダプトマイシン キュビシン®)の5種類で ある。
このうち経口剤はLZDのみ。しかし、バンコマイシン耐性陽球菌に唯一効果があり、最後の切り札的な存在のため、使用は控える。
TDM推奨 → VCM バンコマイシン • TEIC テイコプラニン • ABK アルベカシン(ハベカシン®)
TDM不要 → LZD リネゾリド (ザイボックス®) • DAP ダプトマイシン(キュビシン®)
これらのことを考えて、経口剤で他に抗MRSAに効果があるものはないか?
1. わが国における抗MRSA薬は概して幅広い適応症を有しているが、ABKの適応症は 敗血症・肺炎に限定されており、DAPは肺炎に適応はない。
2. VCM、TEICの治療効果と相関の認められているPK-PDパラメータはAUC/MIC、 ABKで はCpeak/MIC、LZDで はAUC/MIC、DAPで はCmax/MICお よ びAUC/MICと 考えられている。
3. TDMの実施が必要とされるものに、VCM、TEIC、ABKがある。
4. わが国では適応はないが、MRSA感染症に使用されている抗菌薬には、RFP、ST合剤、 MINOなどがある。それぞれの抗菌薬の効果と相関するPK-PDパラメータは明らか ではない。
5. 抗MRSA薬の組織移行性は、抗菌薬により異なる。
6. VCM、TEIC、ABK、DAPは、ほとんどは生体内で代謝を受けず腎より排泄される。 LZDは非酵素的に代謝を受け、非活性代謝物が腎より排泄される。
7. VCM、TEIC、ABK、DAPでは、腎機能に応じた用法・用量調整が推奨されている。
8. 個々の抗MRSA薬の特徴的副作用・薬物相互作用には注意する必要がある。
(MRSA治療ガイドラインより)
http://www.kansensho.or.jp/guidelines/pdf/guideline_mrsa.pdf
上記4に記載がある、ST合剤 (バクタ®)を選択か。 また培養などの感受性も考慮が必要か。