ネオキシテープは半分に切って使えるか?

 

【質問】ネオキシテープは半分に切って使用することは可能でしょうか。

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1. 結論

ネオキシテープを半分に切って貼ることは、電子添文の承認用法が「1日1回1枚(73.5mg)を24時間毎に貼り替え」であり、半分に切って使うことに関する記載がないため、通常は勧められません1)。患者向医薬品ガイドでも「自分の判断で量を加減しない」と説明されています2)。切断後の薬物動態(area under the curve:AUC/maximum concentration:Cmax)・貼付性・残片管理に関する公表データは確認できません。国内の院内DI資料でも「切断時のデータがなく、認められた用法ではないため推奨しない」と整理されています4) 5)。副作用や継続困難があれば、ガイドラインに沿って治療全体を再評価するのが実際の臨床現場です7)


2. 背景

過活動膀胱(overactive bladder:OAB)は国内疫学調査で40歳以上の有症状率が12.4%と推定されています。年齢とともに増加し、80歳以上では約37%に達するとの報告があります6)。貼付剤は内服が困難な場面で選択されやすい一方、効果や副作用のバランス調整を目的に「半分に切って使えるか」と相談されやすい剤形です。ここは意外かもしれませんが、経皮吸収型製剤は一般に貼付条件で曝露量が変わり得るため、根拠なく切断して使うと安全性の説明が難しくなります4) 5)

ネオキシテープは皮膚反応が主要な課題です。経皮吸収型製剤一般の知見として、切断による縁の形状変化は剥がれやすさを増す可能性が指摘されています4) 5)。また、切断した残りの保管方法は添付文書等に規定がなく、品質が保証できません1) 2)


3. 報告

久光製薬株式会社. ネオキシテープ73.5mg 電子添文(2020)
承認用法は「成人:1日1回1枚(73.5mg)を下腹部・腰部・大腿部のいずれかに貼付し、24時間毎に貼り替え」です。切断・分割して貼ることを許容する記載は確認できません。臨床で遭遇しやすいポイントとして、貼付部位で曝露が変化する点があります。腰部は下腹部比でAUC約1.37倍、大腿部は約1.48倍です。なお、許容部位の中では下腹部で曝露が相対的に低い傾向ですが、部位選択を用量を調整する手段として公式に推奨する資料は確認できていません。国内比較試験(12週、旧製剤群)では、副作用として適用部位皮膚炎が31.8%(182/572例)と報告されています1) 3)

久光製薬株式会社. ネオキシテープ73.5mg インタビューフォーム 第12版(2024)
テープ剤の構造は「支持体+膏体(薬物含有層)+ライナー」で、規格は73.0mm×73.0mmの正方形、面積52.5cm²です。国内第Ⅲ相長期投与試験(52週、旧製剤)では平均排尿回数が−2.31回/日改善し、長期にわたり効果が維持されていました。一方で副作用発現頻度は83.8%(362/432例)、適用部位皮膚炎73.8%(319/432例)と皮膚反応が中心でした。なお、現行製剤は旧製剤との生物学的同等性が示されており、旧製剤データが引用される理由はこの点にあります。半分に切って貼った場合の薬物動態・有効性・安全性データはインタビューフォーム上にも記載がありません3)

愛媛大学医学部附属病院 薬剤部 薬品情報管理室. DIニュース(2025)
経皮吸収型製剤の切断について、理論的に可能な場合でも薬物動態データの不足や剥がれやすさ等から原則推奨しないと整理されています。ネオキシテープについても「切断時のデータがなく承認用法ではないため推奨しない」旨が明記されています。JCHO九州病院の院内資料でも同様に「データがないため推奨しない」と整理されており、少なくとも国内の現場資料の範囲では、半分に切って使うことを標準として推奨する位置づけではありません4) 5)

日本排尿機能学会/日本泌尿器科学会. 過活動膀胱診療ガイドライン 第3版(2022)
OABでは症状評価と除外診断を行い、行動療法・生活指導を踏まえて薬物療法(抗コリン薬、β3作動薬等)を選択する枠組みが示されています。効果不十分や副作用による継続困難があれば、薬剤の変更・併用を含め治療全体を再評価する方向性が示されており、貼付剤を自己判断で半分に切るよりも、この枠組みに沿って対応するほうが適切です7)

PMDA. 患者向医薬品ガイド「ネオキシテープ73.5mg」
患者向けの説明資材として「自分の判断で量を加減しないでください」と記載されています。半分に切ることを直接禁止する文言ではありませんが、患者が自己判断で用量を変更する行為を戒める公式資料として、半分に切って使うことを勧めない根拠を補強します2)


4. 関連した質問

Q1. 皮膚がかぶれた場合、どう対応しますか?
A: 貼付部位を毎回変更するのが基本です。症状が強い場合や続く場合は、一時休薬・中止を含めて速やかに医師へ相談します1) 2)

Q2. どこに貼ると曝露が最も低くなりますか?
A: 添付文書では腰部は下腹部比AUC約1.37倍、大腿部は約1.48倍とされており、許容部位の中では下腹部で曝露が低い傾向です。ただし部位選択を用量を調整する手段として推奨する公式資料は確認されていません1)

Q3. 併用薬で注意すべき相互作用はありますか?
A: 主にCYP3A4で代謝され、強い阻害薬(例:アゾール系抗真菌薬)で血中濃度上昇の可能性があります。口渇・便秘等の増悪時は併用薬を再確認します1)


5. まとめ

  • 承認用法(1日1回1枚=73.5mg、24時間毎に貼り替え)をまず遵守し、半分に切って使うことは原則行わない1) 2)
  • 「切断時データがなく、承認用法ではないため推奨しない」とする院内DI資料の整理があり、院内ルールなしに行わない4) 5)
  • 許容部位の中では下腹部で曝露が低い傾向だが、部位選択を用量を調整する手段として公式に推奨する資料は確認されていない1)
  • 皮膚症状が出たら貼付部位を毎回変更し、症状が強い場合や続く場合は医師に報告する1) 2)
  • 切断した残りの保管方法は添付文書等に規定がないため、自己流での運用は避ける1) 2) 4)

6. 参考文献

【引用文献】

  1. 久光製薬株式会社. ネオキシテープ73.5mg 電子添文. 2020年3月改訂(第1版).
  2. PMDA. 患者向医薬品ガイド「ネオキシテープ73.5mg」.
  3. 久光製薬株式会社. ネオキシテープ73.5mg 医薬品インタビューフォーム 第12版. 2024年10月改訂.
  4. 愛媛大学医学部附属病院 薬剤部 薬品情報管理室. DIニュース 2025年9月1号「当院採用の経皮吸収型製剤一覧 Ver.2.0(局所作用製剤を除く)」. 2025.
  5. JCHO九州病院 薬剤部. 経皮吸収型製剤の切断・貼付部位・温熱の影響について.
  6. Homma Y, et al. An epidemiological survey of overactive bladder symptoms in Japan. BJU Int. 2005;96:1314-1318. PMID: 16287452.
  7. 日本排尿機能学会/日本泌尿器科学会. 過活動膀胱診療ガイドライン 第3版. 2022.

【参考文献】

  1. Yamaguchi O, et al. Efficacy and safety of once-daily oxybutynin patch versus placebo and propiverine in Japanese patients with overactive bladder: A randomized double-blind trial. Int J Urol. 2014;21(6):586-593.
  2. Yamaguchi O, et al. Optimum Dose of Once-Daily Oxybutynin Patch in Japanese Patients with Overactive Bladder: A Randomized Double-Blind Trial Versus Placebo. Low Urin Tract Symptoms. 2016;8(3):150-158. PMID: 27619779.
  3. PMDA. ネオキシテープ73.5mg 再審査報告書.

 

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