【質問】レイボーの用法用量について、患者さんにわかりやすいように説明できなくて困っております。教えていただけると助かります。
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1. 結論
レイボー(一般名:ラスミジタンコハク酸塩、用量表示はラスミジタンとして)は、片頭痛発作時に1回100mgを服用する頓用薬です。患者の状態に応じて50mgまたは200mgも選択できます。24時間あたりの総投与量は200mgが上限です1) 2)。患者説明で最も重要なのは「もう1回飲める条件」の線引きです。痛みが続いている同じ発作に追加で飲んでも有効性は確立していません(=追加投与はしない)。一方、いったん痛みが消えてから再び痛くなった場合に限り、24時間で200mgを超えない範囲で再度服用できます(=再投与は可能)1) 2)。
2. 背景
日本の地域住民調査(大山研究〔Daisen study〕)では、片頭痛の1年有病率は全体で6.0%(女性9.1%、男性2.3%)と報告されています5)。受診率が低い集団も含まれるため、片頭痛治療薬に不慣れな患者さんも想定されます。
発作時治療薬は「いつ・何回飲めるか」が患者さんにとって最も混乱しやすいポイントです。特にレイボーでは、適正使用ガイドで追加投与と再投与を明確に区別して定義しています2)。さらに眠気やめまいの発現頻度が比較的高いため、用法用量の説明は副作用の指導とセットで行う必要があります1) 2)。
3. 報告
3-1. レイボー錠50mg/100mg 電子添文(2023年5月改訂 第3版)
用法用量:通常、成人にはラスミジタンとして1回100mgを片頭痛発作時に経口投与する。ただし、患者の状態に応じて1回50mgまたは200mgを投与することができる。頭痛の消失後に再発した場合は、24時間あたりの総投与量が200mgを超えない範囲で再投与できる。用法用量に関連する注意として、継続している発作への追加投与の有効性は確立していないこと、全く効果が認められない場合はその発作に対して追加投与しないことが明記されています1)。
3-2. レイボー錠 適正使用ガイド(RMP資材)
追加投与と再投与が明確に分けて定義されています。追加投与とは、初回投与で頭痛が消失しない同一発作に対する上乗せ投与を指します。再投与とは、初回投与で頭痛が消失した後に24時間以内に再発した場合の再服用を指します。
海外第Ⅲ相試験(SPARTAN/SAMURAI)の併合解析では、初回で頭痛消失に至らなかった症例に追加投与しても、2時間後の頭痛消失率は実薬群とプラセボ群で同程度でした(例:100mg初回→100mg追加 25.6% vs 100mg初回→プラセボ追加 24.8%)2)。
3-3. Sakai F, et al. Headache. 2021;61(5):755-765.(MONONOFU試験)
日本人を対象とした多施設二重盲検プラセボ対照第Ⅱ相RCTです。中等度〜重度の片頭痛発作に対し、発作発現後4時間以内にラスミジタン50mg/100mg/200mgまたはプラセボを単回投与しました。主要評価項目である2時間後の頭痛消失率は、200mg群 40.8%(73/179)、100mg群 32.4%(67/207)、プラセボ群 16.6%(35/211)で、100mg群・200mg群はプラセボ群より有意に高率でした。安全性では、めまい39.4%(188/477)、傾眠19.3%(92/477)、倦怠感10.5%(50/477)がラスミジタン群で多く認められましたが、重篤な有害事象の報告はありませんでした。(PMID: 33990951) 3)
3-4. Matsumori Y, et al. Neurol Ther. 2022;11(4):1721-1734.(MONONOFU事前規定解析)
同試験データの事前規定解析として、痛みがなくなるまでの時間の中央値が報告されています。プラセボ群 9.26時間、50mg群 6.88時間、100mg群 2.75時間、200mg群 2.30時間でした。患者さんに「効くまで少し時間がかかる」と伝える際の根拠になります。(PMID: 36136232) 4)
3-5. 適正使用ガイドにおける有害事象の発現時期と持続時間
国内第Ⅱ相試験(MONONOFU)での有害事象の多くは服用後約1時間以内に発現し、浮動性めまいの持続中央値は3時間以内(その他の事象も多くが5時間以内)と報告されています2)。
4. 関連した質問
Q1. 飲んでも痛みが続くとき、同じ発作で追加して飲んでいいですか?
A: 原則、追加で飲みません。継続している発作への追加投与の有効性は確立しておらず、臨床試験でもプラセボと差が示されていません1) 2)。
Q2. いったん治まったのに、また痛くなりました。再度飲めますか?
A: はい、「いったん消失→再発」の場合は再投与が可能です。ただし24時間の総投与量が200mgを超えないことが条件です1) 2)。
Q3. 服用後の運転はどう伝えればいいですか?
A: 添付文書では「自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう十分注意すること」と記載されています。眠気やめまいが比較的高頻度に現れるため、服用後は運転を避けるよう説明してください1) 2)。
5. まとめ
- 発作時に1回100mg(必要に応じ50mg/200mg)を頓用で服用する。予防目的では使用しない1)。
- もう1回飲めるのは「いったん痛みが消えてから再発した場合のみ」と明確に伝える。痛みが続く同一発作への追加服用は行わない1) 2)。
- 24時間の総投与量は200mg以内とする。200mgを1回で服用した場合は、その24時間は再服用できない1) 2)。
- 服用後はめまい・眠気が出やすい(発現は多くが約1時間以内、持続は数時間)。服用後は自動車の運転等を避けるよう指導する1) 2) 3)。
- アルコールや中枢神経抑制剤との併用で眠気等が増強する可能性があり、併用薬の有無も確認する1)。
6. 参考文献
- 医薬品医療機器総合機構. レイボー錠50mg/100mg 電子添文(2023年5月改訂 第3版).
- 日本イーライリリー株式会社. レイボー錠 適正使用ガイド(RMP資材).
- Sakai F, et al. Phase 2 randomized placebo-controlled study of lasmiditan for the acute treatment of migraine in Japanese patients. Headache. 2021;61(5):755-765. PMID: 33990951.
- Matsumori Y, et al. Rapid onset and sustained efficacy of lasmiditan among Japanese patients with migraine: prespecified analyses of a randomized controlled trial. Neurol Ther. 2022;11(4):1721-1734. PMID: 36136232.
- Takeshima T, et al. Population-based door-to-door survey of migraine in Japan: the Daisen study. Headache. 2004;44(1):8-19. PMID: 14979878.
参考文献:日本神経学会/日本頭痛学会/日本神経治療学会 監修. 頭痛の診療ガイドライン2021. 医学書院; 2021.









