【A】「インヴェガ」の成分であるパリペリドンはリスペリドンの主要代謝物です。リスペリドンを服用すると体内で代謝され、パリペリドンに変化します。そのため、「インヴェガ」と「リスパダール」は共にセロトニン・ドパミン アンタゴニスト(SDA)に分類される非定型抗精神病です。
用法の違いは、「リスパダール」は1日2回投与ですが、「インヴェガ」は放出制御型徐放錠であり、長時間作用型の薬剤であるため1日1回投与と用法が異なっています。「インヴェガ」は、1日1回投与で安定した血中濃度を維持することができるため、コンプライアンスの向上と副作用の軽減が期待できます。さらに、初回投与時から維持用量が投与可能であるため、投与初期から効果が期待できます。
「リスペリドンからパリペリドンへの変更によりメージュ症候群が改善した統合失調症の1例」が報告されていますが、改善した理由については不明とされています。(JUOEH 3 (83) : 233-23, 2016)
「インヴェガ」と「リスパダール」受容体の親和性の違いが一因とも考えられます。
「インヴェガ」と「リスパダール」の比較
- 「リスパダール」は1日2回投与。「インヴェガ」は長時間作用型の薬剤であるため1日1回投与。
- 「インヴェガ」は1日1回投与で安定した血中濃度を維持することができるため、コンプライアンスの向上と副作用の軽減が期待できる
- 「リスパダール」と比較して「インヴェガ」は頓服による服薬がしにくい。
- 「リスパダール」は肝臓で代謝されるが、「インヴェガ」は肝臓で代謝されず、腎臓から排泄される。(「リスパダール」の代謝物が「インヴェガ」であるため、当たり前)
- 「インヴェガ」は初回投与時から維持用量を安全に投与することが可能であるため、治療の初期から有効性が期待できる
- 「リスパダール」と同様に、「インヴェガ」は、α1、α2、D2、H1、および5-HT2A受容体に高い親和性を示し、ムスカリン受容体に低い親和性を示す。 しかし、「インヴェガ」は、α2および5-HT2A受容体に対して親和性が約10倍程度低く、5-HT1Aおよび5-HT1Dに対しては親和性が約3〜5倍程度低い。
放出制御型徐放錠とは?
多層構造のコアを硬い半透過性膜でコーティングした構造。外部と内部の浸透圧差により水を内部に取り込む→水により膨張した多層構造のコアが薬物を押す出すことで徐々に放出される。