【質問】海外のステロイド外用薬は国内のI (Strongest)~V (Weak)より細かく、I~VIIの7段階の分類になっており、その中では同じステロイドでも剤形によりランクが異なる場合があります。例えば、ベタメタゾンジプロピオン酸エステル(リンデロン-DP)は、軟膏はクラスII(high potency)ですが、クリームはクラスIII (high/medium potency)、ローションはクラスV (medium/low potency)に分類されています。この他にも、軟膏に比べてクリーム、ローションは1ランクないし2ランク程度下の分類となっているケースが多いです。また、当院での皮膚科での処方例として、ボアラ軟膏(クラスIII Strong)をローションに切り替える際に、同じクラスIIIのローションではなく、クラスIIのアンテベートローションが処方された例があります。剤形の切り替えの時、同一クラスではないステロイド外用薬を提案する際に、海外の分類を参考にすることは妥当でしょうか。
【A】海外のステロイドランクを参考にすることは、処方提案の一つとして妥当と考えられます。「軟膏に比べてクリーム、ローションは1ランクないし2ランク程度下の分類となっている理由」は、軟膏は密封効果が高いため、効果が増強されるためと考えられます。
米国のガイドラインではステロイドを 7 つのランク(I.very high potency,II. high potency,III – IV.medium potency,V.lower-medium potency,VI. low potency,VII.lowest potency)に、ヨーロッパでは 4 つのランク(very potent,potent,moderately,mild) に分けられています。海外の臨床試験データを参考にする場合には,日本とはステロイド外用薬のランクの分類が違うことに注意する必要があります。
日本においては日本皮膚科学会「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン」のランクが最もよく使用されていますが、このランク付けは主に血管収縮能、比較臨床試験、各医師の使用経験の3つから、決定されています。医師の使用経験も含まれているため、日本独自のランク付けであり、海外のステロイドランクとは異なっています。