【Q】タミフルにCYP2C8阻害作用があるか?トレプロスト投与患者に対してタミフルを使用した。

【A】タミフルにCYP2C8阻害作用はないと考えられる。P450分子種に関する相互作用はほとんど認められていない。
トレプロスト (トレプロスチニル)は肺動脈性肺高血圧症に使用される薬剤で、主にCYP2C8(一部CYP2C9)により代謝される。
トレプロストと相互作用のある薬剤として、CYP2C8により代謝されるワルファリンやCa拮抗剤などがあげられる。

 

併用注意
降圧作用を有する薬剤

・カルシウム拮抗剤
・アンジオテンシン変換酵素阻害剤
・利尿剤
・プロスタグランジンE1、E2、I2誘導体製剤等

抗凝血剤
ワルファリン等

血栓溶解剤
ウロキナーゼ等

血小板凝集抑制作用を有する薬剤
・アスピリン
・チクロピジン
・プロスタグランジンE1、E2、I2誘導体製剤等

CYP2C8誘導剤リファンピシン等

CYP2C8阻害剤 デフェラシロクス

(トレプロスト注射液 添付文書)

 

以下の記載より、タミフルはCYP2C8の阻害作用もないと考えられる。

オセルタミビル及び Ro64-0802 20μg/mL による、ヒト肝ミクロソームにおける各種 P450 基質で ある ethoxyresorufin(CYP1A2)、tolbutamide(CYP2C9)、S-mephenytoin(CYP2C19)、bufuralol (CYP2D6)、chlorzoxazone(CYP2E1)、testosterone(CYP3A4)及び lauric acid(CYP4A)の 代謝に対する影響を検討した。各基質代謝に対する阻害率は最大でも 20%以内であり、オセルタミ ビル及び Ro64-0802 は 20μg/mL の濃度においてヒトP450 分子種に対する相互作用はほとんど認 められない。

(タミフルカプセル75  添付文書)

 

会員登録していただくとできること
記事を全文閲覧できます。 記事を全文閲覧できます。
記事の全文が検索できます 記事の全文が検索できます。
週1回メルマガが届きます 週1回メルマガが届きます
質問投稿することができます 質問投稿することができます

関連記事

外来の妊婦に対するインフルエンザ治療薬の選択は?

【A】オセルタミビル(商品名 : タミフル)は妊婦に対して安全かつ効果的であるとの豊富な情報1,2があります。また、吸入薬であるラニナニビル(商品名 : イナビル)は、体への暴露が少ないため、問題ないとされてお...

【Q】抗インフルエンザ薬と新型コロナ治療薬は併用可能か?

【A】抗インフルエンザ薬と新型コロナ治療薬が併用禁忌でなければ、併用は可能と考えられます。そのため、現在発売されている下記の抗インフルエンザ薬や経口新型コロナ治療薬の併用は可能です。 抗インフルエン...

新着記事

「用時懸濁」指示時における粉末服用の可否は?

【質問】ドライシロップについて。用法に用時懸濁とだけ記載ある場合は、粉のまま服用できる患者だとしても必ず水に溶かしてから服用する必要があるのでしょうか。 テオフィリンDSのように顆粒のままでも服用でき...

亜鉛製剤による銅欠乏リスク:血清亜鉛値が正常でも銅の定期測定は必要か?

【質問】貧血傾向がある方で、ポラプレジンクや酢酸亜鉛などの亜鉛補充の薬を長期的に内服していた場合の銅欠乏の副作用についてどのようにフォローすべきなのかご教示ください。 採血で亜鉛の項目を確認すること...

欠食はSERMの血栓症、活性型VD3の高Ca血症リスクを高めるか?

【質問】欠食は、SERMと活性型VD3製剤の副作用リスク因子となるか。 SERMの静脈血栓症、活性型VD3製剤の高カルシウムの副作用について。 1食抜くと400mlの水分不足となると言われていますが、摂取水分の減少の面...

新着記事をもっと見る