【A】添付文書上では『イナビル』の吸入に年齢制限はなく、吸入可能と考えられる年齢から使用できます。『イナビル』の臨床試験時での最年少使用患者は3歳でした。しかし4〜6歳の患者は製薬メーカーから提供されている吸入確認笛を用いても粉末剤の吸入が不良となり罹病期間が延長することがあると報告されています。そのため、患児が『イナビル』を「吸入可能かの適切な判断」と「繰り返し吸入を行うなど適切な吸入指導」が必要と考えられます。以下に情報の詳細を記載します。
4歳から6歳の患者では粉末剤の吸入が不良となり罹病期間が長くなる場合がある。
(Pediat Therapeut, 5: 225, 2015)
最大吸気流速(PIF) が低い小児患者(90 L/min未満) は粉末剤の吸入が不良となり、吸入後の残量率が20%以上であれば、罹病期間が長くなる場合がある。吸入確認用笛を用いて吸入可能と判断されても、吸入不十分な場合がある。
(外科小児科16: 148-153, 2013)
→『イナビル』は小児患者の吸入力が弱ければ、粉末剤の吸入が不良となり、効果が減弱するため、罹病期間が長くなる可能性があります。特に4歳から6歳の小児患者は吸入力が弱いため注意が必要と考えられます。
『イナビル』の吸入残量を減らすために2回繰り返し吸入する。
(第一三共株式会社 『イナビル』使用説明書)
→吸入が不十分にならないように、2回繰り返し吸入をすることが必要と患者用説明書に記載されています。
小児患者に『イナビル』を投与する場合は2回の繰り返し吸入では、粉末剤を十分吸入ができない場合がある。PIFが100 L/min以上の患者では、2回〜4回繰り返し吸入することで十分に吸入できる可能性が高い。100 L/min未満のPIFが低い患者では、繰り返し吸入しても約半分で吸入不十分となる。(J Pharm Health Care Sci.3: 26,2017)
→吸入力が非常に弱い患者であれば、2回の繰り返し吸入でも十分でない場合があると報告されています。2回以上の繰り返し吸入することで吸入不十分のリスクを低下させることができます。
『リレンザ®』は5歳以上の小児において1度の吸入で1ブリスターの全量を吸入することは困難であり、繰り返し吸入が必要である。(小児科臨床63: 463-465, 2010)
→インフルエンザに対する吸入治療薬である『リレンザ®』も繰り返し吸入することで、吸入不十分のリスクを低下させると報告されています。