【Q】腎機能の基礎知識と計算方法は?わかりやすくまとめてほしい

【A】腎機能はGFR(糸球体濾過量)から評価することができます。GFR(糸球体濾過量)とは「単位時間当たりに腎臓の糸球体により濾過される血漿量」のことを示します。

GFR(糸球体濾過量)の算出にはイヌリンが必要であり、実際にGFRを算出するには『イヌリード®注』を用いて測定しなければいけません。しかし、『イヌリード®注』は高額かつ煩雑であるため、実臨床で行うには難しいと考えられます。そのため、別の方法でGFR(糸球体濾過量)の近似値を算出する必要があります。算出する方法はいくつかあり、それぞれに特徴があるため、どれが適切かを判断する必要があります

  1. イヌリンによる実測値‥最も理想とする算出方法である。イヌリン測定はイヌリード®注で測定できるが、高額で、煩雑であるため現実的ではない。
  2. 24時間蓄尿によるCcrの計算‥CcrはGFRの近似値である。24時間蓄尿して尿中のクレアチニン値と血清クレアチニン値からCcrを算出する。
    Ccr=[尿中CRE(mg/dl)×蓄尿量(ml/分)/血清CRE(mg/dl)]×[1.73/体表面積(m2)]。
    この計算は、精度が高いと考えられるが、欠点として蓄尿する手間がかかることが挙げられる。
  3. 「Cockcroft-Gault法」によるCcrの計算‥Ccrを算出する最も簡単な方法である。ただし「筋肉量が少ない小柄な女性の高齢者」や「寝たきりの患者」では実際よりも高く(腎機能がよく)推算されることがあるため注意が必要である。また、18歳未満の患者には適応できない。
    Ccr(mL/分=(140-年齢)×体重/(72×sCr) (女性の場合は×0.85)
  4. 標準化されたeGFR (mL/分/1.73m2)‥体表面積が1.73m2と仮定した場合のeGFR。日本人の平均体表面積である1.48m2を用いていた時もあるが、日本腎臓学会で世界基準である1.73m2に変更された。CKD重症分類に用いられる。用量の設定に使用されるのではなく、CKD分類をする時に使用される。
    eGFR(mL/分/1.73 m2)=194×SCr-1.094×年齢(歳)-0.287(女性は×0.739)
  5. 患者の体表面積に補正されたeGFR(mL/分)‥患者の体表面積に補正された値で、薬剤の用量設定に用いる。
    eGFR (mL/分/1.73m2)×(患者の体表面積/1.73)
    患者の体表面積=BSA(m2)=(体重kg)0.425×(身長cm)0.725×0.007184
    →この計算式で患者の体表面積に補正することができる。
  6. 血清シスタチン値‥食事や炎症、年齢、性差、筋肉量の影響が受けにくい指標である。クレアチニンと比較して、腎機能低下の初期から上昇するため、早期腎機能障害が診断できることが特徴である。ただし、血清シスタチン値を測定している病院は少ないと思われる。血清シスタチン値からGFRを計算することができる。

 

この中からどの計算式を使うのが最もいいのか?

現時点では【3. 「Cockcroft-Gault法」によるCcrの計算】が最も簡便であると考えます。添付文書の多くはクレアチニンクリアランス(Ccr)で投与量が記載されているためです。ただし、Ccrは高齢者で小柄な女性では腎機能が高く推算される恐れがあることを念頭におく必要があります。

 

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