リスパダールによる嚥下障害の対処法と特徴は?

【質問】リスパダールによる嚥下障害について リスパダール服用中の患者に顕性誤嚥の訴えがあった場合、どのような対応をすべきか。リスパダール中止による影響はないか。代替薬はあるか。そもそも、リスパダールによる嚥下障害の特徴はあるのか?

【回答】

リスパダール服用中に顕性誤嚥の訴えがあった場合、嚥下機能の専門的評価を行い、リスパダールの減量または中止を検討します。さらに口腔ケア、嚥下リハビリ、食形態の調整などの対策を実施し、多職種で連携します。

中止時は精神症状再燃のリスクがあるため、クエチアピン、アリピプラゾール、オランザピンなどの代替薬への切替えを検討します。これらは錐体外路症状が比較的少なく、嚥下障害のリスクが軽減される可能性があります。

リスパダールによる嚥下障害は他の抗精神病薬と大きな違いはありませんが、早期に発現する可能性があり、減量・中止により改善する可逆的な特徴があります。


リスパダール服用中に顕性誤嚥の訴えがあった場合の対応

リスペリドン服用中に患者から顕性誤嚥(食べ物や飲み物を摂取した際に咳込みやむせるなど、明らかに観察できる形で起こる誤嚥)の訴えがあった場合、まず嚥下機能の専門的評価が必要です。言語聴覚士や嚥下専門スタッフに依頼し、嚥下内視鏡検査や嚥下造影検査で嚥下障害の程度を客観的に把握します。この評価結果に基づいて、リスパダールの減量または中止を検討します。薬剤性嚥下障害は投薬中止や減量により改善することが多いため、原則として薬剤調整が優先されます。

同時に、脳血管障害、他の併用薬による影響など、他の原因がないかも確認することが重要です。誤嚥対策として、口腔ケアの徹底、嚥下リハビリ、食形態の調整(とろみ食やペースト食への変更)などを実施します。

(参考文献 : Cureus 15, e42491 (2023).)

リスパダール中止による影響

リスパダールを中止により、精神症状が再燃・悪化する可能性があります。統合失調症であれば妄想・幻覚が再び強まる可能性があり、認知症の周辺症状の場合は興奮や攻撃性がでる可能性があります。リスペリドン自体に明確な身体的依存性はありませんが、徐々に減量して中止するのが望ましいとされています。

代替薬の選択肢

リスパダール中止後も治療を続ける必要がある場合、他の非定型抗精神病薬への切り替えを検討します。クエチアピンは錐体外路症状が比較的少なく、嚥下障害は起こりにくいとされています。ドーパミンD₂受容体への結合がゆるく、速やかに解離するため、パーキンソン様症状や嚥下障害のリスクが低減されます。ただし、眠気やふらつきがのため、高齢者では転倒に注意しながら低用量から開始する必要があります。

アリピプラゾールはドーパミン部分作動薬であり、過度の錐体外路症状は起こりにくい傾向があります。眠気はリスペリドンより少なく、高齢者でも使いやすい薬剤です。

オランザピンは抗幻覚妄想効果が強力で鎮静効果もある薬剤です。リスペリドンに比べると錐体外路症状は少ない傾向がありますが、食欲亢進・体重増加作用や糖代謝異常リスクがあるため、糖尿病の既往がある患者には注意が必要です。

リスパダールによる嚥下障害の特徴

リスパダールによる嚥下障害には特有の所見が明確にあるわけではなく、他の抗精神病薬による嚥下障害と大きく変わりません。しかし、リスペリドンは非定型抗精神病薬の中でも錐体外路症状が生じやすいため、比較的早期(数日~数週間)に発症する可能性があります。用量や服用期間に関係なく症状が現れることもあります。症状としては、食事中のむせ、飲み込みに時間がかかる、食べ物が喉につかえる感じがするなどが見られます。

リスペリドンによる嚥下障害は原因薬を減量・中止すれば比較的改善しやすい可逆的な特徴を持っています。これは脳血管障害後遺症などによる原発的な嚥下障害とは異なる点です。また、抗精神病薬による嚥下障害は高齢者に多いとされていますが、若年者でも発症することがあるため、年齢に関わらず注意が必要です。(参考文献 : Cureus 15, e42491 (2023).)

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