【質問】ビプレッソ徐放錠について 。副作用で口渇の頻度が高いが、
【回答】ビプレッソ徐放錠 (成分 : クエチアピン)の口渇については高血糖や抗コリン作用による副作用が要因となる可能性があります。
ビプレッソ徐放錠は、急性の双極性うつ病に対して用いられ、クエチアピンは錐体外路の副作用、鎮静、眠気、めまい、疲労感、便秘、口渇、食欲増加、体重増加などの副作用が報告されています。(Drug Des Devel Ther 2014 Vol. 8 Pages 827-38 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25028535/)
臨床試験においては臨床試験時に23.5%の頻度で報告されています。
クエチアピンは、ドパミンD1、ドパミンD2、セロトニンHT-2など、さまざまな受容体に作用し、クエチアピンは主にM4やM5という代謝物に分解されます。特に代謝物M5はD2受容体、5HT2A、セロトニン、ドパミン、ヒスタミン、ムスカリン、アドレナリンに作用を示します。ムスカリン受容体に親和性があり、その遮断が抗コリン作用の副作用である口の乾燥につながる可能性が指摘されています。しかし、M5のムスカリン受容体への具体的な親和性がどの程度であるか、明確にはされていません。https://www.psychiatrist.com/jcp/schizophrenia/psychotic-disorders/clarification-anticholinergic-effects-quetiapine/
以上より、ビプレッソ徐放錠の口渇は高血糖の副作用だけでなくに抗コリン作用によるものも考えられます。
以下、補足情報。
・クエチアピンの主用代謝物はM4、M5であり、代謝物のAUC比はM4>M5>M2>M1
・クエチアピン‥ドパミンD1、ドパミンD2、セロトニンHT-2 およびその他のセロトニン、ドパミン、ヒスタミン、およびアドレナリン受容体サブタイプに作用M1 ‥ドパミンD1、ドパミンD2、セロトニンHT-2
M2‥ドパミンD1、ドパミンD2、セロトニンHT-2
M4‥作用を示さない
M5‥D2受容体、5HT2A、セロトニン、ドパミン、ヒスタミン、ムスカリン、アドレナリン活性代謝物であるM1及びM2の血漿中濃度は、クエチアピン(未変化体)の約1/10 以下で推移する。愚弟的にはM1 のCmax はクエチアピンの1.8%、M12のCmax はクエチアピンの4.9%である。(ビプレッソ徐放錠 インタビューフォーム)
これらの情報から、クエチアピンの代謝物M5はムスカリン受容体に親和性を持っており、クエチアピンは抗コリン作用を持つ可能性が示唆されます。ただし、この作用の強さや臨床的な影響については明らかになっていません。