【Q】サムスカ (トルバプタン) は血圧を低下させるか?

【A】トルバプタンは、バソプレシンV2-受容体拮抗作用を有する薬剤であり、腎集合管でのバソプレシンによる水再吸収を阻害することにより、選択的に水を排泄し、電解質排泄の増加を伴わない利尿作用(水利尿作用)を示す。つまり、レニン・アンジオテンシン系やバソプレシン系を賦活しないため、血圧変動を来しにくく、腎血流を減らさないとされている。

以下の文献から、血圧の低下は見られなかったと報告がある。

トルバプタンを投与した患者において血圧 (中心血圧・末梢血圧)は変化しなかった。
(BMC Nephrol. 2014 Jun 25;15:100)

低血圧患者や腎障害患者でも血圧や腎機能に悪影響を及ぼさなかった。
(J Cardiovasc Med (Hagerstown). 2012 Jul;13(7):415-22)

心拍数、血圧、血清カリウムまたは腎機能に有意な変化はみられなかった。
(Kidney Int. 2009 Nov;76(9):960-7)

インタビューフォーム に血圧低下の報告があるため、注意が必要である。

トルバプタン3.75 mg群で10%以上に認められた副作用は口渇、血圧低下で、いずれも10.5%(2/19例)であった。7.5 mg群で10%以上に認められた副作用は口渇33.3%(7/21例)であった。
(抜粋 : サムスカ錠 インタビューフォーム 第17版)

→インタビューフォームに記載されている血圧低下は10.5%と高値を示していますが、症例数は非常に少なく、血圧低下の副作用の頻度が高いとは言い切れません。

調査症例数1237件中、低血圧の副作用は2例(0.16%)
(市販後調査 : サムスカ使用成績調査(ADPKD)中間報告)

→市販後調査によると、低血圧の副作用は非常に少ないことがわかる。

 

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