【質問】薬の効き方について質問です。血中濃度を維持することで効果を発揮する薬剤と、血中濃度と相関なく効果を発揮する薬剤とを見分ける方法はあるのでしょうか?また、血中濃度と相関なく効果を発揮する薬剤の仕組みの代表例を教えていただきたいです。
【A】血中濃度と相関なく効果を発揮する薬剤については以下の薬剤が該当します。
・活性代謝物が薬効を示す場合
・作用部位へ薬剤が残留する場合 (組織濃度が血中濃度よりも高くなる)
・薬物受容体の数が変化する場合や感受性が関係する場合
・薬物受容体に直接作用する場合。
(参考 : 臨床薬理 13, 1982)
これら以外に、薬物と受容体が離れにくければ、血中濃度に相関しないこともあります。
「血中濃度を維持することで効果を発揮する薬剤と、血中濃度と相関なく効果を発揮する薬剤とを見分ける」ことは困難であり、有効血中濃度が明らかにされてない薬剤も多数あります。
血中濃度と相関することなく効果を発揮する薬剤の例について以下に記載します。
コニール錠
血管平滑筋の細胞膜に対する親和性が高く、降圧作用等の薬理効果は薬物血中濃度と相関することなく長時間持続することも明らかにされている。
(コニール錠 インタビューフォーム )
→コニール錠の成分であるベニジピンは血管平滑筋の細胞膜への親和性が高いため、作用部位に残存するため、血中濃度と相関しないと考えられます。
コントール錠
抗不安作用は 0.7mg/mL 以上で増強するという文献もあるが、血中濃度とは相関しないという文献もあり、また、クロルジアゼポキシドの血中濃度との相関はないが、代謝物(デスメチルクロルジアゼポキシド及びデモゼパム)の血中濃度と相関するという文献もある。
(コントール錠 インタビューフォーム)
→コントール錠はベンゾジアゼピン系の抗不安薬であり、現在ではあまり見かけなくなりましたが、血中濃度と効果が相関しないことがインタビューフォームに記載されています。
セスデン錠・細粒6%
治療上有効な血中濃度:この種の薬剤は組織内濃度が重要であり、血中濃度と効果は必ずしも相関しないため不明。
→セスデン錠は組織内濃度が血中濃度よりも高くなるため、血中濃度とは相関しないと考えられます。