【質問】漢方の満量処方以外を勧めるケースはあるのでしょうか?また、あるならどのような場合ですか? 各メーカーの差について参考にできる資料があれば知りたいです。「葛根湯」などの漢方かぜ薬は、エキス量が「満量処方シリーズ」、「3/4量」、「1/2量」と書いたものがありますが、どのような違いがありますか。
【A】漢方は配合できる生薬の量の限度が「一般用漢方製剤製造販売承認基準」において、定められています。この承認基準内の最大量が配合された漢方薬が「満量処方」です。一般用医薬品の漢方薬は「満量」、「3/4量」や「1/2量」があり、「満量」は年齢が比較的、年齢が若く、体格がよい患者、「3/4量」や「1/2量」は高齢者に使用するなど使い分けることが推奨されます。また、漢方薬は、各製薬会社間で、同一の漢方成分名であっても、複数の漢方に関する書物を参考に製剤化されたため、配合生薬の分量が異なることがあります。
例えば、葛根湯はツムラ、クラシエ、コタローの各製薬会社において生薬の配合割合が異なっています。
ツムラ葛根湯エキス顆粒(医療用)
葛根4.0g
大棗3.0g
麻黄3.0g
甘草2.0g
桂皮2.0g
芍薬2.0g
生姜2.0g
クラシエ葛根湯エキス顆粒
葛根8.0g
大棗4.0g
麻黄4.0g
甘草2.0g
桂皮3.0g
芍薬3.0g
生姜1.0g
コタロー葛根湯エキス顆粒
葛根4.0g
大棗3.0g
麻黄4.0g
甘草2.0g
桂皮2.0g
芍薬2.0g
生姜1.0g
また現在、漢方薬は「エキス剤」が主流となっていますが、「煎じ薬」との同等性を確保する必要があります。同等性の確認については「医療用漢方エキス製剤の製造管理及び品質管理に関する基準」で定められています。
通常のOTCと異なり、漢方は一般用医薬品として販売された後に、逆スイッチとして満量処方である医療用医薬品が生まれました。
一般用医薬品の漢方薬の例としてクラシエを挙げると、「満量処方シリーズ」は年齢が比較的若く、体格がよい患者「3/4量」や「1/2量」は高齢者など使用するなど使い分けることが推奨されます。
A: 「満量処方シリーズ」
葛根湯エキス顆粒Aクラシエ
成人1日の服用量3包 (1包2.0g) 中 葛根湯エキス ‥ 5,200mg
S : 「3/4量」
葛根湯エキス顆粒Sクラシエ
成人1日の服用量3包 (1包1.5g) 中 葛根湯エキス (3 / 4量) ‥ 3900mg
「1/2量」
葛根湯エキス錠 クラシエ
成人1日の服用量12錠 (1錠400mg) 中 葛根湯エキス (1 / 2量) ‥ 2,600mg