【Q】ADHDの薬物療法は?

【A】コンサータ錠やストラテラカプセルが治療薬として挙げられます。また、2017年5月にインチュニブ錠、2019年12月にビバンセカプセルが発売されました。コンサータ錠は第1種向精神薬、ビバンセカプセルは覚せい剤原料であり、これらの薬剤はADHD適正流通管理システムでの登録、確認を行い、調剤することが必要です。

【ADHD適正流通管理システムは2019年12月2日より、ADHD適正流通管理システムが稼働する。2020年6月30日までが、新システムへの移行期間となる。2020年7月1日以降でコンサート錠やビバンセカプセルを出す場合は、2020年6月30日までにADHD適正流通管理システムに登録する必要がある。2021年1月1日以降はすべての患者登録の確認や調剤内容登録が必要となる。】

コンサータ錠
・1日1回朝に服薬
・18mg/日→27mg/日→36mg/日→54mg/日 と増量していく。
・効果の発現が早く、12時間作用することが特徴である。
・薬価が高いことが難点。
・第1種向精神薬であり、ADHD適正流通管理システムでの管理が必要

 18歳未満の患者:
通常、18歳未満の患者にはメチルフェニデート塩酸塩として18mgを初回用量、18~45mgを維持用量として、1日1回朝経口投与する。増量が必要な場合は、1週間以上の間隔をあけて1日用量として9mg又は18mgの増量を行う。なお、症状により適宜増減する。ただし、1日用量は54mgを超えないこと。

18歳以上の患者:

通常、18歳以上の患者にはメチルフェニデート塩酸塩として18mgを初回用量として、1日1回朝経口投与する。増量が必要な場合は、1週間以上の間隔をあけて1日用量として9mg又は18mgの増量を行う。なお、症状により適宜増減する。ただし、1日用量は72mgを超えないこと。
(コンサータ錠 添付文書)

ストラテラカプセル /内用液
・1日2回服薬。4週間程度で効果がでる。
・0.5→0.8→1.2mg〜1.8mg/kg/日維持
・後発品が発売されている

18歳未満の患者
通常、18歳未満の患者には、アトモキセチンとして1日0.5mg/kgより開始し、その後1日0.8mg/kgとし、さらに1日1.2mg/kgまで増量した後、1日1.2~1.8mg/kgで維持する。
ただし、増量は1週間以上の間隔をあけて行うこととし、いずれの投与量においても1日2回に分けて経口投与する。
なお、症状により適宜増減するが、1日量は1.8mg/kg又は120mgのいずれか少ない量を超えないこと。

18歳以上の患者
通常、18歳以上の患者には、アトモキセチンとして1日40mgより開始し、その後1日80mgまで増量した後、1日80~120mgで維持する。
ただし、1日80mgまでの増量は1週間以上、その後の増量は2週間以上の間隔をあけて行うこととし、いずれの投与量においても1日1回又は1日2回に分けて経口投与する。なお、症状により適宜増減するが、1日量は120mgを超えないこと。
(ストラテラカプセル 添付文書)

インチュニブ錠
・1日1回投与。
・18歳未満であれば、体重ごとに開始用量や維持用量、MAX用量が異なる。1週間以上あけて1mgずつ、増量する。
・18歳以上であれば、1日2mg開始→1週間以上の間隔で1mgずつ増量。維持用量1日4〜6mg。MAXは6mg。
・副作用は18未満が傾眠146例(57.5%)、血圧低下39例(15.4%)、頭痛31例(12.2%)、18歳以上が傾眠95例(41.3%)、口渇77例(33.5%)、めまい66例(28.7%)、血圧低下60例(26.1%)。

 

18歳未満の患者

体重 開始用量 維持用量 最高用量
17kg以上25kg未満 1mg 1mg 2mg
25kg以上34kg未満 1mg 2mg 3mg
34kg以上38kg未満 1mg 2mg 4mg
38kg以上42kg未満 1mg 3mg 4mg
42kg以上50kg未満 1mg 3mg 5mg
50kg以上63kg未満 2mg 4mg 6mg
63kg以上75kg未満 2mg 5mg 6mg
75kg以上 2mg 6mg 6mg

 

18歳以上の患者:通常,18歳以上の患者には,グアンファシンとして1日2mgより投与を開始し,1週間以上の間隔をあけて1mgずつ,1日4〜6mgの維持用量まで増量する。なお,症状により適宜増減するが,1日用量は6mgを超えないこととし,いずれも1日1回経口投与すること。
(インチュニブ錠 添付文書)

 

 

ビバンセカプセル
・1日1回朝に服薬。
・増量は1週間以上の間隔をあけて1日用量として20mgを超えない。
・覚醒剤原料に指定されており、適切な保管が必要。
・成分であるリスデキサンフェタミン自体には薬理活性がないが、体内でd-アンフェタミンとL-リジンに分解される (つまり、リスデキサンフェタミンのプロドラック)。そのため、徐放化製剤ではないが、1日1回投与となっている。
・主な副作用は,食欲減退136例(79.1%)、不眠78例(45.3%)、体重減少44例(25.6%)である。
・覚せい剤原料であり、ADHD適正流通管理システムでの管理が必要

通常,小児にはリスデキサンフェタミンメシル酸塩として30mgを1日1回朝経口投与する。症状により,1日70mgを超えない範囲で適宜増減するが,増量は1週間以上の間隔をあけて1日用量として20mgを超えない範囲で行うこと。
(ビバンセカプセル 添付文書)

 

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