【A】ナウゼリン (ドンペリドン) は末梢性D2受容体遮断薬であるのに対して、ノバミン (プロクロルペラジン) は中枢性ドパミンD2受容体遮断薬である。どちらかの薬剤が最大投与量でも嘔気、嘔吐の緩和が得られない場合に、ナウゼリンとノバミンを併用することは可能であると考えられる。ただし、併用時には錐体外路症状などの副作用に注意が必要である。(がん患者の消化器症状の緩和に関するガイドライン2011年版)
上記の記載は「がん患者の消化器症状の緩和に関するガイドライン2017年版」において削除されている。この理由は両者の併用が不可というわけではなく、がん患者に対して、ナウゼリンを投与するエビデンスが不足しているため、結論できないためである。よって、作用機序から、ナウゼリンとノバミンの併用に関しては、錐体外路症状などの副作用に注意すれば可能と考えられる。
- ナウゼリン(ドンペリドン) ‥末梢性D2受容体遮断。消化管運動促進薬。消化管のドパミンD2受容体を拮抗し、副交感神経からアセチルコリンを遊離させ、平滑筋のムスカリン受容体に作用することで消化管運動を亢進させる。プリンペラン (メトクロプラミド) も同様の作用機序である。
- ノバミン (プロクロルペラジン)‥中枢性ドパミンD2受容体遮断。
化学受容器引金帯 (CTZ) に作用し制吐作用を示す。抗ヒスタミンH1受容体としての作用もある。
最大投与量でも嘔気、嘔吐の緩和が得られない場合に、投与していない別の作用機序をもつ制吐薬 (ハロペリドール、メトクロプラミドまたはドンペリドン、抗コリン薬、H1受容体拮抗薬のいずれか) を追加併用する。
(参考 : がん患者の消化器症状の緩和に関するガイドライン2011年版)
併用注意
フェノチアジン系精神神経用剤(プロクロルペラジン、クロルプロマジン、チエチルペラジン等)、ブチロフェノン系製剤(ハロペリドール等)、ラウオルフィアアルカロイド製剤(レセルピン等)
臨床症状・措置方法
内分泌機能調節異常又は錐体外路症状が発現しやすくなる。
(ナウゼリンOD錠 添付文書)
併用注意
薬剤名等
ドンペリドン
メトクロプラミド
臨床症状・措置方法
臨床症状:内分泌機能調節異常又は錐体外路症状が発現しやすくなることがある。
(ノバミン錠5mg 添付文書)