加温したグリセリン浣腸液は、翌日に使用することは可能か?

【質問】グリセリン浣腸液を40℃程度に加温したが使用しなかった場合、その浣腸液を翌日再加温して使用可能と判断できるか?

【A】現在、公開されている報告には、グリセリン浣腸液を40°Cで加熱後の成分含量や試験結果は見当たりません。ただし、ある製薬会社の資料によれば、「40°Cで5回繰り返し加熱された個包装のグリセリン浣腸液でも、成分含量やpHの変化は無い」と報告されています。グリセリン浣腸液の成分を考慮して、40°Cで加熱したものを再利用することは大きな問題を起こさないと思われますが、最終的な判断は現場で行う必要があります。

また、グリセリン浣腸「オヲタ」のチューブキャップには潤滑剤(ジメチルポリシロキサン)が塗布されており、キャップを回して外すことで、先端部に潤滑剤を塗ることができます。40°Cで加熱すると、潤滑剤が液だれする可能性があるため注意が必要です。

なお、グリセリン浣腸「ケンエー」、「ムネ」、「マイラン」、「ヤマゼン」のグリセリン浣腸液50%製品には、チューブキャップに潤滑剤は塗布されていません。

グリセリン浣腸液の成分について

40°Cに加熱した後もグリセリン浣腸液の成分は安定していると考えられます。

有効成分の各種条件下における安定性
遮光した気密容器(材質:ポリエチレン、ガラス)で 40°C、75%RH に 6 ヵ月間、または室温に4年間保存した結果、ほとんど変化は認められない。 また、気密容器(材質:ガラス)で 130°C,90 分の加熱にも耐える。
(ケンエーG浣腸液50% インタビューフォーム 現在はケンエーG浣腸液50%からグリセリン浣腸液50%「ケンエー」の名称変更に伴い、インタビューフォームの内容から削除されている)

 

グリセリン浣腸の潤滑剤について

グリセリン浣腸「オヲタ」のみにキャップ内側に潤滑剤が塗布されています。

グリセリン浣腸「オヲタ」

潤滑剤付キャップを使用しており、キャップを回しながらはずすことにより、潤滑剤をチューブ先端部全体に塗布することができる。
(グリセリン浣腸「オヲタ」 インタビューフォーム)

 

グリセリン浣腸液50%「ケンエー」
ストッパーより先端の挿入部を少量の内容液で潤すか、オリブ油、ワセリン等の潤滑剤を塗布して肛門内に挿入しやすくする。(浣腸液が出にくい場合はチューブの先端部を軽く叩いて、浣腸液が出るのを確認してから使用すること。) (グリセリン浣腸液50%「ケンエー」インタビューフォーム)

 

グリセリン浣腸液50%「ムネ」
先端部の周囲を浣腸液で潤すか、あるいはオリブ油、ワセリン等を塗布して挿入しやすくする。
(グリセリン浣腸液50%「ムネ」 インタビューフォーム)

 

グリセリン浣腸液50%「マイラン」
キャップをまわすように取りはずし、内容液を少量出してノズルの先端を潤すか、あるいはワセリン等を塗布して滑りやすくした後、チューブをゆっくりと肛門内に挿入する (小児の場合は3〜7cm、成人の場合は6〜10cm)。
(グリセリン浣腸液50%「マイラン」インタビューフォーム)

 

グリセリン浣腸「ヤマゼン」
注入管先端のキャップを外し、中の液を少し出して先端部の周囲を潤すか、あるいはオリブ油、ワセリン等を塗布して挿入しやすくする。
(グリセリン浣腸「ヤマゼン」インタビューフォーム)

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