【質問】【ビオスリー配合散】は乳酸菌、酪酸菌、糖化菌の3種混合の製剤で、互いの共生関係により腸内細菌叢を正常化させる製剤であるが、同じく乳酸菌製剤である【レベニン散】と酪酸菌製剤である【ミヤBM】の併用によっても類似の効果が得られると考えられるか。
【A】理論上は【レベニン散】と【酪酸菌製剤】を併用することで共生関係が生じ、効果が増加すると考えられます。また、乳酸菌、酪酸菌、糖化菌の3種混合の整腸剤を使用して、【腸内細菌が起炎菌である敗血症】や【紅皮症型の皮疹で発症する薬剤性過敏症症候群(DIHS)】が有効であった症例が報告されています。よって効果の増加を期待する際は、両者の併用も妥当と考えられます。
ただし、整腸剤を併用することにより、保険上の審査で査定される可能性もあるため、【レベニン散】と【ミヤBM】を併用するのではなく、【ビオスリー配合散】単剤の方が望ましいと考えられます。
腸内細菌が起炎菌である敗血症に対して乳酸菌、酪酸菌、糖化菌が有効であった。乳酸菌、酪酸菌、糖化菌の合剤を6g/日で投与。(Prog.Med. 24 : 1791-1794, 2004)
症例1. 発熱と紅皮症型の皮疹で発症するDrug-induced hypersensitivity syndrome(DIHS)に対して。プレドニゾロン(10mg)とプロバイオティクスである乳酸菌・ 酪酸菌・糖化菌合剤を3.0g/日で投与後、改善。
症例2. 乳酸菌・酪酸菌・ 糖化菌合剤3.0g/日の投与。ステロイドは不使用。皮疹は徐々に軽快。
(未病と抗老化 12, 63-67, 2003)
一症例の報告であるため、3種混合の整腸剤を併用して、どれくらい効果が上昇するかはまだ不明であり、議論の段階と思われます。
製品の治療学的・製剤学的特性
(1) 本剤は、糖化菌(好気性菌)、乳酸菌(通性嫌気性菌)、酪酸菌(偏性嫌気性菌)という酸素感受性の異なる三種の活性菌を含有し、小腸から大腸まで作用する。
(2) 糖化菌は乳酸菌を、乳酸菌は酪酸菌を単独培養に比べて約 10 倍増殖を促進する(in vitro)。
(3) 糖化菌は、ビフィズス菌の増殖を促進させる(in vitro、ラット)。
(4) 乳酸菌および酪酸菌は、それぞれ各種腸管病原菌(大腸菌 O157、腸炎ビブリオ、ボツリヌス、MRSA 等)の増殖を抑制し、乳酸菌、酪酸菌との混合培養ではその増殖抑制作用は更に増強する(in vitro)。
(ビオスリー配合散 インタビューフォーム )
→これらの記載から3種混合の整腸剤による相乗効果があると考えられます。
ビオスリー配合散
1g中 ラクトミン10mg
酪酸菌 50mg
糖化菌 50mg1日1.5〜3gを3回に分割経口投与する
乳酸菌、酪酸菌、糖化菌各々の間で共生関係が成立
・乳酸菌、酪酸菌の混合培養による両菌の増殖の促進
・糖化菌による乳酸菌の増殖の促進
(ビオスリー配合散 添付文書)
レベニン散
1g中 耐性乳酸菌18mg
通常成人1日3gを3回に分割経口投与する。
(レベニン散 添付文書)
ミヤBM細粒
1包(1g)中に酪酸菌(宮入菌)末40mg
通常、成人1日1.5〜3gを3回に分割経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。ミヤBM錠
1錠中に酪酸菌(宮入菌)末20mg
通常、成人1日3〜6錠を3回に分割経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
(ミヤBM細粒 ミヤBM錠 添付文書)