【A】ミヤBM (酪酸菌) は芽胞を形成するためニューキノロン系を含む抗菌剤の影響を受けにくいとされている。これは抗菌剤を投与後も、芽胞として生存しているためである。
一方で、ビオフェルミンR錠などの耐性乳酸菌は「ペニシリン系、セファロスポリン系、アミノグリコシド系、マクロライド系、テトラサイクリン系、ナリジクス酸」などに対して影響を受けにくいことが添付文書から理解できる。しかし、ニューキノロン系 (レボフロキサシン、シプロフロキサシン) やグリコペプチド系 (バンコマイシンなど) などは記載がない。
これまでに報告がいくつかされているが、臨床上で明確にされたものはない。
例えば、「ニューキノロン系薬剤に対して、乳酸菌と耐性乳酸菌では臨床効果に差はないと考えられる。(in vitro)」
「耐性乳酸菌製剤や酪酸菌製剤を併用しても臨床効果が期待できないと考えられる。(in vitro)」(Jan J. Pharm. Health Care Sci. 34 (1) 59-63,2008) や、「酪酸菌は芽胞として生存するため、消化管内の抗菌剤濃度が低下すると、増殖し、効果が発現すると考えられる。(in vitro)」 (YAKUGAKU ZASSHI 132 (7) 849-853,2012) などが報告されている。
また、ニューキノロン系の薬剤使用の患者に対して、ビオフェルミンRの服薬で効果がないという報告がなく、個々の臨床経験などにより整腸剤を選択する必要があると考えられる。
まとめると、現時点では、ニューキノロン系の薬剤を使用する場合の整腸剤の選択として、耐性乳酸菌製剤 (もしくは乳酸菌製剤) で無効な場合、ミヤBMの使用も検討する必要があると考えられる程度である。