【Q】セレコックス錠は他のNSAIDsと比べて胃粘膜障害の発現リスクが低いと考えられるがサイトテック錠は必須か?

【質問】当院では、ある診療科のクリニカルパスで、セレコックス錠とその副作用予防でサイトテック錠が同時処方できるように登録されています。セレコックス錠は他のNSAIDsと比べて胃粘膜障害の発現リスクが低いと考えられますが、エビデンス的にはサイトテック錠は必須でしょうか。

【A】セレコックス (成分名:セレコキシブ)は他のNSAIDsと比べて胃粘膜障害の発現リスクが低いと報告されていますが、胃粘膜障害がないわけではありません。

セレコックス服用患者に対して、胃粘膜障害の発現リスク軽減のためにサイトテックの併用は必須ではありませんが、選択肢の一つとしてサイトテックやPPIなどの併用は適していると考えられます。以下に現在までに報告されている文献を記載します。。

 

COX-2阻害薬とPPIの併用はNSAIDsによる上部消化管障害のリスクを低下する。セレコキシブの使用は、他のNSAIDとPPIの併用よりもリスクを低下させる。(Gastroenterology. 2008 Apr;134(4):937-44)

サイトテック錠 (ミソプロストール)は長期にわたるNSAIDs服薬患者の胃潰瘍および十二指腸潰瘍の発現を低下させる。(Ann Intern Med 1995; 123:344.)

→NSAIDs服薬患者における粘膜障害発現リスクの低下はPPIの併用と同様にサイトテック錠 (ミソプロストール)の併用も効果的であると報告されています。

 

【セレコキシブ+エソメプラゾール】VS【ナプロキセン+エソメプラゾール】VS【イブプロフェン+エソメプラゾール】で比較したところ、【セレコキシブ+エソメプラゾール】 の胃腸障害イベントが有意に少なかった。内訳は【セレコキシブ+エソメプラゾール】8030例中54例、【ナプロキセン+エソメプラゾール】7933例中115例、【イブプロフェン+エソメプラゾール】7990例中115例に胃腸障害イベントが発生した。(N Engl J Med 2016; 375:2519)

→セレコックス (成分名:セレコキシブ)は他のNSAIDsと比較して胃粘膜障害の発現リスクが低いと報告されています。また、セレコックス (成分名:セレコキシブ)とエソメプラゾールを併用しても、他のNSAIDsと比較して、胃粘膜障害が有意に少なくなりますが、完全になくなるわけではないことがわかります。

 

 

低用量アスピリンを服用している変形性関節症患者において、胃十二指腸潰瘍は【セレコキシブ単剤】で10%、【ナプロキセンとランソプラゾール】の併用で9%の患者に見られた。(Clin Gastroenterol Hepatol 2007; 5:1167.)

セレコキシブを服用している2238人中114人(6%)の患者、ジクロフェナクとオメプラゾールを服用している2246人中167人(8%)の患者が胃腸の有害事象のために早期に中止した。(Lancet. 2010 Jul 17;376(9736):173-9)

→【セレコキシブ単剤】と【他のNSAIDs(COX-2選択的阻害薬以外の薬剤)+PPI】で胃十二指腸潰瘍の発生頻度は同程度となっています。セレコキシブは他のNSAIDSにPPIを追加した程度に、胃粘膜障害の発現リスクが低下するとも考えられます。

 

【 COX-2選択的阻害剤 + PPI】服薬患者の26%が空腸粘膜障害を発現したが、【 COX-2選択的阻害剤 +プラセボ】の服薬患者にはみられなかった。PPIは短期間の非ステロイド性抗炎症薬による小腸損傷のリスクを高めた。(Clin Gastroenterol Hepatol 2016; 14:809.)

→症例数は非常に少ないですが、このような報告もあります。

 

 

 

 

 

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