【質問】セレコックスはCYP2D6阻害作用があり、中程度(または弱)
【A】ノルバデックス(タモキシフェン)は、乳がんに適用がある抗エストロゲン薬です。一方、セレコックス(セレコキシブ)は非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)で関節リウマチや変形性関節症、腰痛症に適用があります。
・タモキシフェンは肝代謝酵素CYP3A4およびCYP2D6によって代謝されます。最初にCYP3A4で脱メチル化され、次にCYP2D6で水酸化されて活性型が生成します。また、CYP2C9、CYP2B6、CYP2J2にも関与しています。
・セレコキシブはCYP2D6を中程度または弱く阻害します。CYP2D6はタモキシフェンの代謝に重要であり、セレコックスがこの酵素を阻害することにより、タモキシフェンの代謝が減少し、その活性型が減少します。
以上より、ノルバデックスを服用している患者さんがセレコックスも併用する場合、セレコックスがCYP2D6を阻害し、タモキシフェンの効果を低下させる可能性があるため、注意が必要です。処方医や整形外科医に適切な情報提供は必要と考えられます。
これらの情報は添付文書やLexicompには記載されていません。
米国の処方薬に関する検索できるRxListには
CELECOXIB ORAL AND TAMOXIFEN ORAL celecoxib oral decreases effects of tamoxifen oral by slowing drug metabolism. The effect of tamoxifen may be reduced.
Monitor CloselySignificant interaction possible (monitoring by your doctor required)「CELECOXIB ORAL AND TAMOXIFEN ORAL」セレコキシブ(経口)は、薬物の代謝を遅らせることで、タモキシフェン(経口)の効果を低下させます。タモキシフェンの効果が減少する可能性があります。慎重に監視してください。重大な相互作用が起こる可能性があります(医師による監視が必要です)。
タモキシフェンは遺伝子多型にも影響あるとされています。
CYP2D6の代謝活性に違いがあり、正常な代謝活性を持つ人をEM(Extensive Metabolizer)、代謝活性が欠損または著しく低い人をPM(Poor Metabolizer)と呼ばれています。タモキシフェンの効果はPMの場合、EMに比べて無病生存期間や無再発生存期間が有意に短くなることが報告されています。(Frontiers in Oncology 2021 Vol.11 )