【質問】
小児科でカロナール細粒、PL顆粒が1日3回ずつ処方されたとき、同時に併用することもあるのでしょうか?またロキソニンとカロナールは患者の痛みの度合いにより同時に1日3回ずつ服用することもあるのでしょうか?
ビジュアル回答はこちら → https://closedi.jp/vshare/43798439/
結論
- 小児でのカロナール (アセトアミノフェン) +PL顆粒の同時併用は原則避けます。PLにもアセトアミノフェンが含まれ、総量上限60 mg/kg/日 (1回10–15 mg/kg、4–6時間間隔)を超過しやすいからです(1)(2)
- 小児でのロキソニン (ロキソプロフェン)+アセトアミノフェンの定期同時併用は推奨しません。ロキソプロフェンは小児で安全性未確立であり、NSAIDsの他剤併用回避が示されています(3)
- 成人では急性疼痛で短期に限りアセトアミノフェン+NSAID(例:ロキソプロフェン60 mg 1日3回+アセトアミノフェン用量上限内)の同時併用を行う場合があります。(5)(6)
背景
小児ではアセトアミノフェンが解熱鎮痛の第一選択であり、PLはアセトアミノフェンを含む総合感冒薬のため重複投与が問題になります(1)(2)(4)。アセトアミノフェン過量は重篤な肝障害を来す可能性がある一方、NSAIDsは腎・消化管有害事象に注意が必要です。 現場では「同時に飲ませてよいか」「交互投与は安全か」という誤解が生じやすく、用量計算・投与間隔・総量管理とともに、OTCを含む重複チェックが実務上の課題です。3) 成人の急性疼痛ではアセトアミノフェン+NSAIDの併用が鎮痛増強を示すエビデンスがあり(6)、ただし期間限定かつリスク管理が前提です。
報告
- 添付文書:アセトアミノフェン(カロナール等)
「アセトアミノフェン他剤との併用回避」「小児:10–15 mg/kg/回、4–6時間以上、上限60 mg/kg/日」が明記。(1) - PL配合顆粒/幼児用PL インタビューフォーム(IF)
成人用PL 1 g中アセトアミノフェン 150 mg、幼児用PL 1 g中アセトアミノフェン 25 mg、用法は通常1日4回(毎食後・就寝前)(2) - 添付文書:ロキソプロフェン(ロキソニン)
「小児の安全性未確立」、「他の消炎鎮痛剤との併用は避けることが望ましい」と記載。(3) - 日本小児科学会 (2022)
小児の解熱鎮痛はアセトアミノフェンを第一選択、年長児ではイブプロフェンも選択可。交互・併用は投与錯誤リスクに留意(4) - Sullivan JE, Farrar HC, AAP Clinical Report: Fever and Antipyretic Use in Children (2011) /
APAPとイブプロフェンの交互・併用はレジメンが複雑で投与ミス増。まず単剤最適化を推奨。 (PMID: 21285377)
関連した質問(Q&A)
- Q: 小児でカロナールとPLを同じタイミングで飲ませてもよい?
A: 原則避けます。両方にアセトアミノフェンがあり総量60 mg/kg/日に近づきやすいからです。やむを得ず併用なら投与間隔4–6時間を確保し、総量と肝障害に注意します。(1)(2) - Q: 小児でロキソニン+アセトアミノフェンを1日3回同時は?
A: 推奨しません。ロキソプロフェンは小児で承認外、NSAIDs併用回避も示されています。小児はアセトアミノフェン単剤を基本、必要時に年齢要件下のイブプロフェンを検討します(3)(4) - Q: 成人でロキソニン+アセトアミノフェンを1日3回同時は可能?
A: 可能な場合があります(急性期・短期)。例:ロキソプロフェン60 mg×3+アセトアミノフェン製剤上限内で2–3日程度。NSAIDs同士は不可、消化管・腎リスクに注意し改善後は単剤へ(6)
まとめ
- 小児:アセトアミノフェン+PLは原則回避。やむを得ずならアセトアミノフェン総量=60 mg/kg/日以下を合算管理し、4–6時間間隔を守る
- 小児:ロキソプロフェンは承認外。アセトアミノフェン第一選択、必要時は年齢要件を満たすイブプロフェンで代替
- 成人:アセトアミノフェン+NSAID併用は短期(2–3日)。NSAIDs同士は併用禁止、上限量・胃腸/腎/出血リスクを評価
- OTC重複を必ず確認
引用文献
(1) アセトアミノフェン(カロナール等)添付文書
(2) 塩野義製薬. PL配合顆粒/幼児用PL配合顆粒 インタビューフォーム
(3) ロキソプロフェンナトリウム(ロキソニン)添付文書
(4) 日本小児科学会. 小児の解熱鎮痛薬使用に関するメッセージ(2022).
(5) Sullivan JE, Farrar HC. Fever and antipyretic use in children. Pediatrics. 2011;127(3):580-587. PMID: 21285377.
参考文献
- 厚生労働省. 小児薬物療法検討会議報告:アセトアミノフェン(2006).
- 各社医療用医薬品電子添文
- Derry CJ, et al. Single dose oral ibuprofen plus paracetamol… Cochrane 2013(急性疼痛の多面的鎮痛関連).
一言まとめ
小児のカロナール+PLは原則避ける。ロキソニンは小児原則不可。成人は短期に限りアセトアミノフェン+NSAID併用可。









