【質問】点滴バッグやプレフィルドシリンジ、アンプルには少し多めの薬液が入っているかと思いますが、この「多めの量」というのは+何%などの規定や目安はあるのですか?プレフィル製剤をホルダーで入れるときに全量入れるので気になっていました。
【A】点滴バッグやプレフィルドシリンジ、アンプルは表示量よりも多く内容量が含有されていることが多いと考えられます。「+何%の規定」はありませんが、表示量よりも少ない量は「採取容量試験法」にて不可とされており、この試験において、表示量以上含有されているかが確認されています。
プレフィルドシリンジは臨床現場では全量投与するケースが多いですが、表示量よりもやや多めに含有されています。例えば、某製薬会社の微量元素のプレフィルドシリンジは表示量が「2mL」ですが、実際は「2.23mL」と1割ほど多く入っています。
+何%以上含有してはいけないなどの決まりはなく、「採取容量試験法」を下回らないように、製造メーカーが適切と考えられる用量が含有されていると考えられます。
注射剤の採取容量試験法は、表示量よりやや過剰に採取できる量が容器に充塡されていることを確認する試験法である。 アンプル、プラスチックバッグなどの単回投与容器又は分割投与容器で提供される注射剤は、通常、表示量を投与するのに十分な量の注射液で充塡されており、過量は、製品の特性に応じて決まる。懸濁性注射剤及び乳濁性注射剤では、内容物を採取する前及び密度を測定する前に振り混ぜる。油性注射剤及び粘性を有する注射剤では、必要ならば表示された方法に従って加温し、内容物を移し替える直前に振り混ぜてもよい。測定は、20~25°Cに冷やした後に行う。(第十七改正日本薬局方 p136)
カートリッジ剤又は充塡済みシリンジ剤
表示量が、10 mL以上の場合は1個、3 mLを超え10 mL未満の場合は3個、3 mL以下の場合は5個をとり、付属の注射針、押し子、注射筒などがある場合にはそれらを装着し、各容器の 全内容物を、注射針の中が空にならないようにして、ゆっくり と一定速度で押し子を押しながら質量既知の乾いたビーカーへ 排出する.内容物の質量(g)を密度で除して容量(mL)を求める。個々の製剤の採取容量は表示量以上である。 (第十七改正日本薬局方 p136)
単回投与注射剤
表示量が、10 mL以上の場合は1個、3 mLを超え10 mL未満の場合は3個、3 mL以下の場合は5個をとり、個々の容器ごと に全内容物を採取する。採取には2.5 cm以上の長さの21ゲー ジ針を取り付けた、測定しようとする容量の3倍を超えない容量の乾燥した注射筒を用いる。注射筒及び注射針内から気泡を排出した後、注射筒の全内容物を、注射針の中が空にならないように受用メスシリンダー中に排出し、容量を測定する。この代わりに、内容物の質量(g)を密度で除して容量(mL)に換算してもよい。受用メスシリンダーには測定しようとする容量が 40%以上となる乾燥したメスシリンダーを用いる。なお、表示量が2 mL以下の場合は適切な数の容器をとり、各容器について別々の乾燥した注射筒を用いて全内容物を採取し、それらを合わせて容量を測定してもよい。10 mL以上の場合は、開封し、全内容物を直接受用メスシリンダー又は質量既知のビーカーへ入れて測定してもよい。個々の製剤の採取容量は表示量以上である。表示量が2 mL以下の場合で複数個の内容物を合わせて測定したときは,採取 容量は表示量の合計以上である。(第十七改正日本薬局方 p136)