レノグラスチム (ノイトロジン) は投与経路によって用量が異なる理由は?

【質問】ノイトロジンの用法用量についてご教示ください。 先天性・特発性好中球減少症の適応は、投与又は静脈内投与のどちらの場合でも2μg/kg1日1回と用量設定が同じですが、他の適応では皮と静注で体重あたりの用量設定が異なります。その違いは何でしょうか?ご教示いただけると幸いです。

【回答】

ノイトロジンは先天性・特発性好中球減少症では、皮下投与と静脈内投与のいずれも2μg/kgと同じ用量が設定されています。これは、比較的安定した疾患であり、急激に好中球数を上げる必要性が低く、むしろ継続的な好中球数の維持が重要とされるためです。投与経路に関わらず低用量での安定した効果が期待できるということです。

一方で、がん化学療法後の好中球減少症の適応においては、投与経路によって用量が異なります。皮下投与では1日1回2μg/kg、静脈内投与では1日1回5μg/kgとされています。

急性骨髄性白血病や急性リンパ性白血病(AMLやALL)の場合、化学療法による骨髄抑制されるため、一般的には静脈内投与が推奨されています。ただし、血小板減少などによる出血リスクや静脈路の確保状況によっては、比較的安全な皮下投与(2μg/kg)を選択できます。

この用量差は、投与経路における薬物動態の違いがあるためです。皮下投与では薬剤が皮下組織からゆっくりと吸収されるため、血中濃度の上昇が緩やかで、効果が持続的に得られます。このため、比較的少ない用量でも十分な効果を発揮します。一方、静脈内投与では薬剤が直接血中に入るため、血中濃度が急激に上昇しますが、半減期が短く作用時間も短いという特徴があります。そのため、効果を維持するために静脈内投与ではより高用量が必要です。

悪性リンパ腫や小細胞肺癌などの腫瘍では、皮下投与(2μg/kg)で十分な有効性が確認されているため、基本的には皮下投与が推奨されます。しかし、血小板が極端に少ないなどの出血傾向がある場合や、注射部位の皮下出血リスク、皮下投与が困難な体表状態の場合は、静脈内投与(5μg/kg)の選択も可能です。

 

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