【質問】 バゼドキシフェンの飲み忘れ対応について、「決して2回分を一度に飲まないでください。気がついた時に、1回分を飲んでください」とありますが、多くの薬剤に記載のある「次回服用時間が近ければ飲み忘れた分はとばしてください」の記載がないのは理由があるのでしょうか。次回服用時間が近くても2回分を同時に飲まなければ飲み忘れ分の服用可能なのでしょうか
【A】バゼドキシフェン (商品名 : ビビアント)のくすりのしおりには、飲み忘れ時の対応として「決して2回分を一度に飲まないでください。気がついた時に1回分を飲んでください」と記載されています。一方、一般的な薬剤でよく見られる「次回服用時間が近ければ忘れた分をとばしてください」といった指示は記載されていません。
理由
バゼドキシフェンは消失半減期が約23~35時間と比較的長いです。そのため、たとえ服用時間がずれてもある程度の血中濃度は維持できると考えらます。
・「次回が近ければとばす」という指示は、服薬判断を患者に委ねる側面があり、高齢者では混乱のもとになりやすいため、あえて明記していない可能性が考えられます。一方で、「2錠を一度に飲まないでください」と記載されているのは、40mgの一時的な過量投与により、静脈血栓塞栓症(VTE)などの副作用リスクが増す可能性があるためです。
・欧州のバゼドキシフェンの添付文書では、「飲み忘れに気づいたらできるだけ早く1錠服用すること。ただし次回服用時間が近い場合は忘れた分をスキップし、2錠同時には服用しないこと」と明記されておいます。米国FDAでも同様に、飲み忘れ時の対応として「次回が近ければスキップ」が推奨されています。
If a dose of DUAVEE is missed, instruct patients to take it as soon as remembered unless it is almost time for the next scheduled dose. They should not take two doses at the same time.
服用を忘れた場合は、次の服用時間が近くない限り、思い出した時点ですぐに1回分を服用するよう患者に指導してください。次の服用時間が近い場合は、忘れた分をとばしてください。2回分を同時に服用してはいけません。
・一方で、同効果薬のラロキシフェン(エビスタ)は半減期が約25時間ですが、くすりのしおりなどでは「次の服用時間が近い場合は忘れた分を飛ばす」と補足されている例があります
・日本の添付文書は、薬物動態に基づいた柔軟な対応を記載つつも、患者のアドヒアランス向上を優先している可能性があります。実際の臨床現場では、次回服用が数時間後である場合には、薬剤師の判断でスキップの指導は必要かもしれません。
参考文献:
- 添付文書
- 医薬品インタビューフォーム
- Conbriza 20mg film-coated tablets: European Medicines Agency (EMA), Package Leaflet
- U.S. FDA Prescribing Information for DUAVEE