【A】耳垢水の調製方法は各施設の院内製剤内規によって異なると考えられる。日本においては炭酸水素ナトリウムを用いた耳垢水の調製が一般的であると考えられる。海外では炭酸水素ナトリウム以外で調製を行なっているケースもある。
海外の文献によると成分間による有効性の差異を直接比較したものはないと報告がある。また、無処置より耳垢水を使用したほうが有意に良好であるという報告がある。
例1.
材料
・炭酸水素ナトリウム 5g
・グリセリン 25ml
・精製水 (滅菌精製水) 上記と合わせて全量100mlにする調整方法
- 炭酸水素ナトリウムを精製水に混和溶解する。
- グリセリンを加えて振とう混和する。
- 精製水を加えて全量100mlとする。
- ミリポアフィルター (0.22μm) でろ過する。
- ガス滅菌した点鼻用ポリ容器 (5ml)に分注する。
- 調整後は冷所保存が必要。
適応
耳垢塞栓の軟化用法用量
1日1回から2回 点耳 (使用期限1年)(参考 : 病院薬局製剤 日本病院薬剤師会 監修 第6版)
例2.
材料
・炭酸水素ナトリウム 1.5g
・グリセリン 7.5ml
・蒸留水 上記と合わせて全量30mlにする。
※精製水と蒸留水の違いは
蒸留水‥水道水などを蒸留して得られた水
精製水‥水道水などを蒸留、イオン交換、超ろ過のいずれか又はそれらの組み合わせにより精製した水(参考 : 病院薬局製剤 日本病院薬剤師会 監修 第6版)
・炭酸水素ナトリウム、chlorbutanolは無処置より有意に耳垢の除去に良好であった。
・炭酸水素ナトリウム、chlorbutanol、triethanolamine polypeptide oleate condensateまたはdocusate sodium liquid VS 滅菌水または生理食塩水などのプラセボの結果、有効性の間に差異は見られなかった。
まとめ : 点耳薬としての耳垢水の使用は、無治療と比較して、耳垢の除去に有効であった。耳垢水の種類より、効果の差異があったかは不明であった。
(Aaron K1, Cooper TE, Warner L, Burton MJ. Cochrane Database Syst Rev. 2018 Jul 25;7)