【Q】ムコフィリン吸入液を造影CT時の腎保護目的で処方できるか?

【A】ムコフィリン吸入液 (N-アセチルシステイン) の腎保護目的での使用は適応外であり、腎保護目的で処方することは不可である。ただし、腎保護作用に関して以下のような報告 (N Engl J Med 2006; 354: 2773-2782.) が上がっており、これまでにN-アセチルシステインを内服することが広くされてきている。
最近ではN-アセチルシステインの内服は予防に寄与しないという否定的な報告 (N Engl J Med 2018; 378:603-614) もあるため、各施設の判断での使用となる。

効能又は効果/用法及び用量
下記疾患の去痰
慢性気管支炎、肺気腫、肺化膿症、肺炎、気管支拡張症、肺結核、のう胞性線維症、気管支喘息、上気道炎(咽頭炎、喉頭炎)、術後肺合併症

下記における前後処置
気管支造影、気管支鏡検査、肺癌細胞診、気管切開術
(ムコフィリン吸入液20% 添付文書)

アセチルシステイン内用液の造影剤誘発性腎症の予防に関して2003年から2006年のN Engl J MedやLancetで報告されている。アセチルシステインの腎保護作用はフリーラジカルの除去や一酸化窒素の血管拡張作用を増強することによるものと考えられている。
しかし2018年に腎合併症のリスクが高い患者においてはアセチルシステイン内用液は予防に寄与しないとN Engl J Medで報告されている。

造影剤誘発性腎症を原発性血管形成術で治療された患者に用量依存性効果で予防し、病院の転帰を改善する可能性がある。
N-acetylcysteine and contrast-in- duced nephropathy in primary angioplasty.
(N Engl J Med 2006; 354: 2773-2782.)

水分補給を伴うアセチルシステインは、慢性腎不全患者の造影腎症のリスクを有意に減少させる。
Acetylcysteine for prevention of contrast nephropathy: meta-analysis.
(Lancet. 2003 Aug 23;362 9384)

腎合併症のリスクが高い患者においては、造影剤関連急性腎障害の予防に関して、アセチルシステインの経口投与にプラセボを上回る利益は認められなかった.
Outcomes after Angiography with Sodium Bicarbonate and Acetylcysteine
(N Engl J Med 2018; 378:603-614)

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