【Q】フロリードゲル経口用を内服した際、ワーファリンの代謝が遅延したという報告はあるか?

【A】ミコナゾール (商品名:フロリードゲル経口用)は、ゲル剤であるため、服用しても体内に吸収されず、チトクロームP-450を阻害しないと考えられてきた。しかし、チトクロームP-450で代謝されるワルファリンとミコナゾール (商品名:フロリードゲル経口用)の相互作用による出血関連事象の報告があり、両薬剤は平成28年10月18日付で併用禁忌に指定された。

【補説】

・ミコナゾール (商品名:フロリードゲル経口用)とワルファリンの相互作用による出血関連事象は、平成25年4月〜平成28年7月の3年間に因果関係が不明な症例も含め、41例(うち死亡例は1例)PMDAに報告されている。
(医薬品・医療機器等安全性情報 No.338)

・ミコナゾール (商品名:フロリードゲル経口用)とワルファリンは、平成28年10月18日付で併用禁忌に指定されており、フロリードゲル経口用2%の添付文書には下記の記載がある。

「ワルファリンの作用が増強し、重篤な出血あるいは著しいINR上昇があらわれることがある。また、併用中止後も、ワルファリンの作用が遷延し重篤な出血を来したとの報告もある。患者がワルファリンの治療を必要とする場合は、ワルファリンの治療を優先し、本剤を投与しないこと。 」 (フロリードゲル経口用2% 添付文書)

・ミコナゾール (商品名:フロリードゲル経口用)の相互作用については以下の文献や症例など多数報告されている。

ミコナゾールは、ワルファリンの代謝に関与する主要な酵素の1つであるCYP2C9の強力な阻害するため、プロトロンビン時間(INR)の上昇など、ワルファリンの抗凝固作用の増強する。
(Warfarin and miconazole oral gel interactions: analysis and therapy recommendations based on clinical data and a pharmacokinetic modelJournal of Clinical Pharmacy and Therapeutics (2011) 36, 642–650)

 

症例報告
(Miconazole oral gel and drug interactions. BRITISH DENTAL JOURNAL (2004) Vol196, NO. 9)

 

ミコナゾール (商品名:フロリードゲル経口用)を服用後、ワルファリン&シクロス​​ポリンの経口バイオアベイラビリティーが増加した。
(Interaction of miconazole oral gel with warfarin and cyclosporine in a patient with nephrotic syndrome.CEN Case Rep (2012)1:55–57)

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