重症筋無力症患者へのPL配合顆粒処方は疑義照会が必要であるか?

【質問】重症筋無力症のある患者さんに、PL配合顆粒が処方された場合疑義照会は必要ですか? PLは抗コリン作用をもつ薬剤が含有されていますが、添付文書に重症筋無力症についての記載はありません。

【回答】
PL配合顆粒には「プロメタジンメチレンジサリチル酸塩」が含まれており、抗コリン作用があります。重症筋無力症の患者においては、抗コリン作用を持つ薬剤は一般的に避けるべきとされています。例えば、抗コリン作用がある泌尿器治療薬のベシケア(コハク酸ソリフェナシン)の添付文書には、重症筋無力症患者への投与は禁忌として記載されています。

禁忌(次の患者には投与しないこと)
重症筋無力症の患者 [抗コリン作用により筋緊張の低下がみられ症状が悪化するおそれがある] ベシケア錠2.5mg,5mg 添付文書

PL配合顆粒の添付文書には、重症筋無力症に関する具体的な注意事項は記載されていませんが、抗コリン作用を持つ薬剤であるため注意が必要です。

昭和大学では、【抗コリン作用薬禁忌疾患(前立腺肥大、認知症、重症筋無力症)に使用されていると推察される患者を抽出し、処方見直しを提案するポリファーマシー改善提案書運用】を行っています。この取り組みによる抗コリン一覧資料では、PL顆粒を含む抗コリン作用薬は重症筋無力症の症状を悪化させるリスクがあるため注意が必要であると明記されています。

https://www.showa-u.ac.jp/SUH/department/support/pharmacy/poly.html

以上より、PL配合顆粒の添付文書に重症筋無力症が禁忌として記載されていなくても、使用については医師との相談が必要です。疑義照会の必要性については、抗コリン作用がより少ない代替薬の提案、患者の希望、現在の状態などを考慮して総合的に判断する必要があると考えられます。

 

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