【A】臨床試験における比較試験をアイトロール錠20mgとフランドル20mgで行い、同等であると示されている。換算比は1 : 1であると考えられる。アイトロールの特徴はフランドルと比較して、①血漿中濃度の個人差が小さいこと、②食事内容の影響を受けにくいこと、③肝臓での初回通過効果を受けにくいため消失半減期が長い製剤学的工夫をせずに持続的効果が期待できることなどが挙げられ、フランドルを改良した薬剤といえる。
以下、詳細について記載する。
狭心症患者を対象にアイトロール錠20mg 1 日2 回投与の効果を検討するため、フランドル (硝酸イソソルビド徐放錠) 20mg 1 日2 回投与を対照とする二重盲検群間比較試験を行った結果、アイトロール錠20mg はフランドルと同等であるという成績が得られた。[山田和生, 他:Geriat. Med., 23(8), p. 1421-1435(1985)]
(アイトロール錠 インタビューフォーム)
→アイトロール錠20mg とフランドル錠20mgの換算比は1:1であると考える。
①アイトロールとフランドルとの薬物動態の比較
アイトロール錠20mg 経口投与時の薬物動態を健康成人で測定した成績とフランドル20mgを経口投与時の薬物動態を健康成人で測定した成績を相対比較した。その結果、本剤の薬物動態値の変動係数は、フラン ドルの変動係数よりいずれも小さかった。このことから、アイトロールはフランドルと比較して、血漿中濃度の個人差が小さいと考えられる。
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→血漿中濃度の個人差が小さい。
②健康成人男子8 名にアイトロール20mg(及びフランドル20mg を経口投与し、薬物動態に及ぼす食事内容の影響を検討した。食事は、高脂肪食(約3,100kcal)と低脂肪食(約2,100kcal)をクロスオーバー法によって摂取させた。その結果、本剤投与時のAUC は高脂肪食と低脂肪食の摂取により差は認められなかった。一方、フランドル投与時のAUC は高脂肪食摂取時が低脂肪食摂取時に比べて大きい傾向を示した。また、いずれの食事内容の場合でも、本剤投与時の薬物動態パラメータはフランドル投与時のそれより個 体間変動が小さかった。このことから、本剤はフランドルよりも食事内容の影 響を受けにくいと考えられる。
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→食事内容の影響を受けにくい。
③アイトロールは他の硝酸・亜硝酸エステル系薬剤に比べて、脱ニトロ化を受け にくいことから肝臓での初回通過効果を受けにくく、消失半減期が長い。このため、初回通過効果を受けやすい他の経口硝酸・亜硝酸 エステル系薬剤に比較して、肝機能の状態等生体側の要因による治療効果のば らつきが少なく、製剤学的工夫をせずに持続的効果が期待できる。
(アイトロール錠 インタビューフォーム)
→肝臓での初回通過効果を受けにくいため消失半減期が長い製剤学的工夫をせずに持続的効果が期待できる