ヤーズ配合錠とヤーズフレックス配合錠の違いと使い分けは?

【質問】ヤーズ配合錠とヤーズフレックス配合錠の違い、使い分けについて教えてください。

【A】以下に要約と本文を記載します。

要約
ヤーズ配合錠とヤーズフレックス配合錠は、共にドロスピレノンとエチニルエストラジオールを含み、月経困難症の治療に使用されます。ただし、それぞれの特性と使用方法には違いがあります。

・ヤーズ配合錠は、4日間のプラセボを含む24日間の服用サイクルを推奨します。プラセボの服用を始めると通常、生理が始まります。生理が続いていても続いていなくても、29日目から新たなシートの服用を開始します。

・ヤーズフレックス配合錠は、月経困難症以外にも、子宮内膜症や生殖補助医療のための調節卵巣刺激の開始時期の調整にも使用されます。服用パターンは3つあります。

  1. 最長120日間の連続服用後に4日間休薬する方法
  2. 24日間の連続服用後に4日間休薬する方法
  3. 生殖補助医療においては14-28日連続服用する

選択する製剤と服用パターンは、患者の症状や生活習慣、またアドヒアランスにより異なります。ヤーズ配合錠はプラセボが含まれているため、服用を忘れにくいという利点がありますが、1ヶ月ごとの休薬期間中にホルモン消退時症状が出る可能性があります。一方、ヤーズフレックス配合錠の最大124日間連続服用パターンでは、その症状が軽減される可能性がありますが、出血のタイミングが予測しにくいというデメリットがあります。また、ヤーズフレックス配合錠の28日間服用パターンでは、29日目以降の服用忘れのリスクがあります。

 


本文

ヤーズ配合錠は、従来の製剤とは異なり、休薬期間を7日間から4日間に短縮することで、休薬時のホルモン消退時症状(下腹部痛、頭痛等)を軽減することを目的とし、2010年11月に販売開始されました。

一方、ヤーズフレックス配合錠は、休薬期間中の消退出血の頻度を低減することを目的に、2017年4月に発売されました。

ヤーズ配合錠 ヤーズフレックス配合錠
成分 ドロスピレノン3mgおよびエチニルエストラジオール0.02mg/錠 ドロスピレノン3mgおよびエチニルエストラジオール0.02mg/錠
発売日 2010年11月 2017年4月
適用 月経困難症 ①    月経困難症
②    子宮内膜症に伴う疼痛の改善
③    生殖補助医療における調節卵巣刺激の開始時期の調整
用法・用量 24日間服用後、プラセボ4日間服用 ①    最大124日周期処方(最長120日連続服用+休薬4日) or 28日周期処方(24日服用+休薬4日)
②    最大124日周期処方(最長120日連続服用+休業4日)
③    14-28日連続服用

【処方せんでの見分け方】
① ヤーズ配合錠の処方せんが来たら・・・
月経困難症で患者は28日間服用(うち4日間はプラセボ)するよう指導します。プラセボ内服し始めると生理がはじまり、生理が継続しているか否かに関わらず29日目から新たなシートを内服開始します。

② ヤーズフレックス配合錠の処方せんが来たら・・・
医師からの指示(何日内服するか)を確認します。

・最大124日周期処方(最長120日連続服用+休薬4日)の場合
適用は月経困難症 or 子宮内膜症に伴う疼痛の改善。24日目までは出血の有無にかかわらず連続投与する。25日目以降に3日連続出血が認められた場合 or 連続投与が120日に達した場合は4日間休薬する。休薬後は生理が継続しているか否かに関わらず連続投与を開始する。

・28日周期処方(24日服用+休薬4日)
適用は月経困難症。24日間連続投与し、4日間休薬する
生理が継続している否かに関わらず29日目から次の周期の錠剤を内服する。

・生殖補助医療における調節卵巣刺激の開始時期の調整(14-28日連続服用)
1日1錠を14-28日連続経口投与する

【使い分け】
月経困難症に対して使用する場合、①ヤーズ配合錠②ヤーズフレックス配合錠最大124日周期処方③ヤーズフレックス配合錠28日周期処方
の3パターンが考えられます。以下にそれぞれの特徴を示します。

  • ヤーズ配合錠
    メリット:1シートにプラセボが含まれるため、29日目以降の内服忘れを防ぐことができる
    デメリット:約1ヶ月に1回休薬期間があるため、ホルモン消退時症状(下腹部痛、頭痛等)を認める可能性がある
  • ヤーズフレックス配合錠最大124日周期処方
    メリット:休薬期間が短いため、ホルモン消退時症状が少ないことが期待できる
    デメリット:出血期間の予測が難しい
  • ヤーズフレックス配合錠28日周期処方
    デメリット:29日目以降の内服忘れのリスクがある

定期的な月経をを好む患者が一定数存在するとのアンケート結果があるため、月経困難症に用いる場合は患者のアドヒアランス等を考慮してこれらの製剤を選択・処方されるケースがあります。

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