【質問の要約】
CMZ(セフメタゾール)の用量設定について、重症度に応じた高用量使用の根拠が不明確で、新人からの質問に回答できず困っています。JAID/JSCの感染症治療ガイドでは腎機能別の投与量が示されていますが、治療ガイドでの記載と実際の使用量に差があり、判断に悩んでいます。みなさまはどのように判断されていますか?
【質問の全文】
みなさまのご施設ではCMZ(セフメタゾール)の用量設定は何を参考にされています
【回答①】
【JAID/JSC 感染症治療ガイド 2023】にて
ESBLによる院内肺炎の場合は、
CMZ 1 回1~2 g・1 日 3~4 回
ESBLによる急性単純性腎盂腎炎(思春期~閉経期の女性)
CMZ 1 回1~2 g・1 日 3 回
ESBLによる複雑性腎盂腎炎(カテーテル非留置症例)
CMZ 1 回1~2 g・1 日 3 回
となっていますね。
これをみるとESBLの場合は1回2g×3回もありのようにみえますね
ただ重症感染症でも4g上限なので、
添付文書を逸脱するのは微妙ですね~
【回答②】
前提として、微生物検査等で原因微生物が同定、または推定できていたのですね。
セフメタゾールの投与量は、添付文書の投与量を基本とするのが適切です。ただし、重症感染症や組織移行性が悪い臓器への感染の場合には、さらに高用量を検討し、医師とディスカッションしても良いと思います。
参考になる書籍としては、JAID/JSC感染症治療ガイドが適切だと考えます。
【回答③】
CMZの高用量使用に関して明確な根拠を見つけることが難しい状況です
。CMZの用量設定の基本は、添付文書やJAID/JSC感染症治療ガイドなどの標準的な資料に基づくべきと考えられます。これらは多くの施設で参考にされており、患者の腎機能や感染の重症度、感染部位に応じた用量調整が推奨されています。一方で、臨床現場では感染症の重症度や患者の状態に応じて、医師の判断で推奨用量よりも高用量が使用されるケースがあります。その理由として、重症感染症や特定の感染部位ではより高い血中濃度が必要となる場合がある、患者の薬物動態が通常と異なる場合には通常量では十分な効果が得られないことがある、施設や地域の抗菌薬使用方針に基づいて用量が調整されることがある、などが考えられます。
ただし、高用量使用の安全性に関するエビデンスは十分ではなく、副作用のリスクも考慮する必要があります。そのため、個々の症例において感染症の重症度や患者背景を総合的に判断し、適切な用量設定を行うことが重要です。新人スタッフへの説明としては、まずは標準的なガイドラインを理解してもらうことです。その上で、特殊な状況下では医師の臨床的判断に基づいて用量が調整される場合があることを伝え、不明な点は積極的に医師に質問することを促すことも重要です。