【Q】ゴーストピル (殻錠) が糞便中に排泄される薬剤は?

【A】服薬した錠剤がその形状を残したまま糞便中に排出されることがある。いわゆるゴーストピルである。徐放錠などが該当すると考えられる。以下に添付文書に記載がある代表的な薬剤をまとめた。先発品にはなく後発品のみにゴーストピルに関する記載がある薬剤もある。
ディレグラ配合錠、インヴェガ錠、オキシコンチン錠、ジソピラミドリン酸塩徐放錠 (後発品) 、セレニカR錠、デパケンR錠、テオフィリン錠「TYK」(後発品)、コンサータ錠、アサコール錠など。

 

・パリペリドン (インヴェガ錠)
・オキシコドン塩酸塩水和物 (オキシコンチン錠)
・リン酸ジソピラミド (ジソピラミドリン酸塩徐放錠「日医工」、
・ジソピラミド徐放錠「テバ」)
・バルプロ酸ナトリウム (セレニカR錠、デパケンR錠、バルプロ酸Na徐放錠)
・テオフィリン (チルミン錠、テオフィリン徐放U錠「トーワ」、テオフィリン錠「TYK」、ユニコン錠)
・ニフェジピン (ニフェジピンCR錠「NP」、ニフェジピンCR錠「サワイ」、ニフェジピンCR錠10mg「日医工」、ニフェランタンCR錠)
・ネルフィナビルメシル酸塩 (ビラセプト錠)
・イソプレナリン塩酸塩 (プロタノールS錠)
・メチルフェニデート塩酸塩 (コンサータ錠)
・メサラジン (ペンタサ錠、アサコール錠)
・硫酸鉄 (フェロ・グラデュメット錠)
・塩化カリウム (ケーサプライ錠、スローケー錠)
・モルヒネ硫酸塩水和物 (ピーガード錠)
・フェキソフェナジン塩酸塩 / 塩酸プソイドエフェドリン (ディレグラ配合錠)

 

 

 

※以下、各薬剤の添付文書より該当部分を抜粋

インヴェガ錠 (パリペリドン)
本剤の外皮は内部の不溶性の成分と一緒に糞便中に排泄されるが、正常なことであり心配する必要はないことを説明すること。

オキシコンチン錠 (オキシコドン塩酸塩水和物)
本剤のマトリックス基剤(抜け殻)が人工肛門あるいは糞便中に排泄される場合があること,その場合本剤の成分は既に吸収されているため,臨床的に問題はないことを患者に説明すること。

ジソピラミドリン酸塩徐放錠150mg「日医工」(リン酸ジソピラミド)
本剤のマトリックス基剤は成分放出後も体内で崩壊せずに排泄されるため、錠剤の形をした塊として糞便中に認められることがある。

ジソピラミド徐放錠150mg「テバ」(リン酸ジソピラミド)
本剤のマトリックス基剤は成分放出後も体内で崩壊せずに排泄されるため、錠剤の形をした白い塊として糞便中に認められることがある。

チルミン錠 ( テオフィリン)
糞便中に、まれに製剤由来の白色物質が認められることがある。

テオフィリン徐放U錠「トーワ」( テオフィリン)
糞便中に、まれに本剤由来の白色物質がみられることがある。

テオフィリン錠100mg「TYK」(テオフィリン)
糞便中に、まれに本剤由来の白色物質が認められることがある。

ユニコン錠 (テオフィリン)
糞便中に,まれに本剤由来の白色物質がみられることがある。

セレニカR錠 (バルプロ酸ナトリウム)
本剤投与後に白色の残渣が糞便中に排泄されるが、これは賦形剤の一部である。

デパケンR錠 (バルプロ酸ナトリウム)
本剤の白色の残渣が糞便中に排泄される。

バルプロ酸Na徐放B錠「トーワ」(バルプロ酸ナトリウム)
本剤の白色の残渣が糞便中に排泄される。

ニフェジピンCR錠「NP」(ニフェジピン)
内核のフィルムコーティング剤のエチルセルロースは水に不溶のため、糞便中にまれに錠剤の形状を残したまま排出されることがある。

ニフェジピンCR錠「サワイ」( ニフェジピン)
内核のフィルムコーティング剤のエチルセルロースは水に不溶のため、糞便中にまれに錠剤の形状を残したまま排出されることがある。

ニフェジピンCR錠10mg「日医工」( ニフェジピン)
内核のフィルムコーティング剤のエチルセルロースは水に不溶のため,糞便中にまれに錠剤の形状を残したまま排出されることがある。

ニフェランタンCR錠 (ニフェジピン)
内核のフィルムコーティング剤のエチルセルロースは水に不溶のため、糞便中にまれに錠剤の形状を残したまま排出されることがある。

ビラセプト錠 (ネルフィナビルメシル酸塩)
本剤投与中に,本剤の添加物に由来する青色の残渣が,便中に観察されることがある。

プロタノールS錠 (イソプレナリン塩酸塩)
本剤のマトリックス基剤は成分放出後も体内で崩壊せずに排泄されるため、錠剤の形をした塊として糞便中に認められることがある。

コンサータ錠 (メチルフェニデート塩酸塩)
本剤の外皮は内部の不溶性の成分と一緒に糞便中に排泄されるが、正常なことであり心配する必要はないことを説明すること。

ペンタサ錠 (メサラジン)
本剤のコーティング剤のエチルセルロースは水に不溶の ため、糞便中に白いものがみられることがある。

アサコール錠 (メサラジン)
便中に錠剤がみられる場合がある。

フェロ・グラデュメット錠 (硫酸鉄)
鉄放出後のプラスチック格子は,そのまま糞便中に排泄される.

スローケー錠 、ケーサプライ錠 (塩化カリウム)
本剤のゴーストタブレット(有効成分放出後の殻錠)が糞中に排泄されることがある。

ピーガード錠 (モルヒネ硫酸塩水和物)
本剤の外層を形成する水不溶性高分子膜(抜け殻)は、体内で吸収されることはないため、人工肛門又は糞便中に排泄されるが、本剤の有効成分は既に吸収されているため、臨床的に問題はないことを患者に説明すること。

ディレグラ配合錠 (フェキソフェナジン塩酸塩 / 塩酸プソイドエフェドリン)
糞便中に、有効成分放出後の殻錠が排泄されることがある。

 

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