【Q】ネリプロクト軟膏に含まれているステロイドのランクは?

【A】「ネリプロクト軟膏」に含まれているジフルコルトロンは「ネリゾナ」と国内ステロイドランクが同じである薬剤であり、「ネリゾナ」は国内ステロイドランク5段階中、上から2番目のベリーストロング(2群)に位置付けられています。
「ネリゾナ」は0.1%、ネリプロクト軟膏は0.01%と含有濃度が異なっています。

 

ステロイド軟膏の濃度が低下すると、効果が低下します。これは、米国における7段階のステロイドランクにおいて、同成分で濃度が低いステロイドのほうが低いランクに位置づけられていることや、基剤中の濃度が低下すると、血管収縮効果が低下することが報告されている(Journal of Japanese Cosmetic Science Society Vol.38 (29), 96-102, 2014)ことからも、裏付けされます。

一方で、軟膏剤の含有成分は基剤中に結晶として存在していることが多く、飽和状態となっています。そのため、白色ワセリンなどで数倍に希釈しても、基剤中に溶解している主薬濃度は変わらず、効果は変わらないと報告されています。(Journal of Japanese Cosmetic Science Society Vol.38 (29), 96-102, 2014)

ステロイド軟膏は基剤中に結晶として存在しなければ、濃度が低くなるにつれて、効果は低下すると考えられます。

「ネリプロクト軟膏」は「ネリゾナ軟膏」をワセリンなどの基剤で10倍薄めたというものではなく、既製品であるため結晶化されて飽和しているとは考えにくく、効果はネリゾナ軟膏よりも低下すると考えられますが、ネリプロクト軟膏に含まれているステロイドのランクは情報が少なく、明確にはされていません。

ネリプロクト軟膏は肛門付近など、吸収が高い部分に塗布するので、濃度が低くなっていると考えられます。

ネリゾナユニバーサルクリーム0.1%、ネリゾナ 軟膏0.1%、ネリゾナクリーム0.1%
1 g中,日局ジフルコルトロン吉草酸エステル 1 mg含有

ネリプロクト軟膏
1 g中,日局ジフルコルトロン吉草酸エステル0.1mg 及び日局リドカイン20mg含有
痔核に伴う症状(出血,疼痛,腫脹)の緩解

(各社  添付文書)

会員登録していただくとできること
記事を全文閲覧できます。 記事を全文閲覧できます。
記事の全文が検索できます 記事の全文が検索できます。
週1回メルマガが届きます 週1回メルマガが届きます
質問投稿することができます 質問投稿することができます

関連記事

【Q】剤形によるステロイド外用薬のランクの違いは?

【質問】海外のステロイド外用薬は国内のI (Strongest)~V (Weak)より細かく、I~VIIの7段階の分類になっており、その中では同じステロイドでも剤形によりランクが異なる場合があります。例えば、ベタメタゾンジ...

【Q】外用塗布剤の「1日数回」とは?

【質問】外用塗布薬の「1日数回」とはおおよそ何回くらいまでを指しているのでしょうか? 【A】外用塗布剤の塗布回数と効果の関係は検討されていないため、添付文書において「1日数回」と明確な回数が記載されてい...

【Q】ステロイドの離脱症状が生じる用量と内服期間は?

【質問】ステロイドを含むセレスタミンがいきなり毎朝1錠服用×30日分で処方されてきました。患者さんも「シーズンだけ」と言っていましたが、長期連用の長期とはどの程度の期間を指すのでしょうか?おそらく1~2...

新着記事

亜鉛製剤による銅欠乏リスク:血清亜鉛値が正常でも銅の定期測定は必要か?

【質問】貧血傾向がある方で、ポラプレジンクや酢酸亜鉛などの亜鉛補充の薬を長期的に内服していた場合の銅欠乏の副作用についてどのようにフォローすべきなのかご教示ください。 採血で亜鉛の項目を確認すること...

欠食はSERMの血栓症、活性型VD3の高Ca血症リスクを高めるか?

【質問】欠食は、SERMと活性型VD3製剤の副作用リスク因子となるか。 SERMの静脈血栓症、活性型VD3製剤の高カルシウムの副作用について。 1食抜くと400mlの水分不足となると言われていますが、摂取水分の減少の面...

CLAPでのゲンタマイシン投与、腎機能低下時は全身投与と同じように減量する?

【質問】骨軟部組織感染症に対する局所高濃度抗菌薬灌流療法においてゲンタマイシンを使用する際、腎機能低下がある場合の用量設定はどのように考えればよろしいのでしょうか。全身投与と同じ考え方となりますか...

新着記事をもっと見る