【Q】ネリプロクト軟膏と強力ポステリザン軟膏はどちらがステロイドランクが高いか?

【A】「ネリプロクト軟膏」の成分は「ジフルコルトロン吉草酸エステル (ネリゾナ軟膏)」と同じです。そのため、「ネリプロクト軟膏」は「強力ポステリザン軟膏 (日局ヒドロコルチゾン」よりもステロイドランクが高いといえます。しかし、「ネリプロクト軟膏」はネリゾナ軟膏の1/10の濃度となっているため、「ネリプロクト軟膏」は「強力ポステリザン軟膏」よりも効果が高いとは一概には言い切れません。

ステロイド軟膏の濃度が低下すると、効果が低下すると考えられます。
これは、米国における7段階のステロイドランクを確認すると、トリアムシノロンアセトニド0.5% (日本での商品名 : レダコート) は、軟膏基剤、クリーム基剤ともに、II. high potencyにランク付けされているのに対して、トリアムシノロンアセトニド0.1%は、III – IV.medium potencyとなっていることからも理解できます。

一方で、軟膏剤は、大部分の含有成分は基剤中に結晶として存在しており、飽和状態であるため、白色ワセリンなどで数倍に希釈しても、基剤中に溶解している主薬濃度は変わらず、効果は変わらないと報告されています。しかし、基剤中の濃度が低下すると、血管収縮効果が低下することが報告されていることから、基剤中に結晶として存在しなければ、濃度が低くなるにつれて、効果は低下すると考えられます。

今回の「ネリプロクト軟膏」は「ネリゾナ軟膏」をワセリンなどの基剤で10倍薄めたというものではなく、既製品であるため結晶化されて飽和しているとは考えにくく、効果はネリゾナ軟膏よりも低下すると考えられます。

以上より、「ネリプロクト軟膏」と「強力ポステリザン軟膏 (日局ヒドロコルチゾン」のステロイドの強弱は比較されたものはなく、明確にはできないと考えられます。

・「ネリプロクト軟膏」の成分は「ジフルコルトロン吉草酸エステル」であり、「ネリゾナ軟膏」と同成分です。「ジフルコルトロン吉草酸エステル0.1%」はステロイドランクでベリーストロングですが、ネリプロクト軟膏は0.01%と濃度が低く設定されているため、「ネリゾナ軟膏」と同等の効果とは言い切れません。

・「強力ポステリザン軟膏」の成分は「日局ヒドロコルチゾン」であり米国の7 つのランク7番目と最も弱いランクの薬剤(lowest potency)に位置しています。

・「ロコイド軟膏」の成分は「ヒドロコルチゾン酪酸エステル」であり、米国のランクでは上から5番目のランク(lower-medium)になっています。「日局ヒドロコルチゾン」と「ヒドロコルチゾン酪酸エステル」ではステロイドの強さが異なることに注意が必要です。

※米国の7 段階のランク : I. very high potency,II. high potency,III – IV.medium potency,V.lower-medium potency,VI. low potency,VII.lowest potency)

 

強力ポステリザン軟膏成分・含量(1g中)
大腸菌死菌浮遊液:0.163mL(大腸菌死菌 約2.59億個含有)
日局ヒドロコルチゾン:2.5mg(2.5%)

 

ネリプロクト軟膏
1 g中,日局ジフルコルトロン吉草酸エステル0.1mg 及び日局リドカイン20mg含有

 

ロコイド軟膏0.1%
1g中 (日局)ヒドロコルチゾン酪酸エステル1mg(0.1%)

ネリゾナ軟膏
1g中,日局ジフルコルトロン吉草酸エステル1mg含有

 

https://closedi.jp/4151/

 

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