【Q】薬剤熱とはどのようなものか?

【A】書籍や文献により定義は異なりますが、以下のように定義されています。

・投与量に依存せず、投与から7-10日後に発症し、薬剤中止により72時間以内に消失する熱
(今日の治療指針2019年版)

・薬剤の投与に随伴して発熱し、薬剤を中止すると解熱する反応で、他の発熱の原因が明らかでないもの
(Patel RA, Pharmacotherapy. 2010 Jan;30(1):57-69 )

また、薬剤熱には作用機序として5つの機序が考えられています。

1) 過敏反応
特徴:数日から3週間程度での発症が多く、随伴症状が様々である。
代表的な薬剤:アロプリノール、抗菌薬、抗けいれん薬など

2) 体温機能調節障害
特徴:熱生産の更新や放散障害による。通常用量では起こりにくい。
代表的な薬剤:抗コリン剤、レボチロキシン、シメチジン

3) 薬剤投与に関連した発熱
特徴:不純物の混入や薬剤自体の作用による。特定の薬剤に特徴的であり、投与開始から数時間以内にみられる。
代表的な薬剤:アムホテリシンB,バンコマイシン、ブレオマイシ

4) 薬剤の副次的反応
特徴:障害を受けた腫瘍や病原体からの発熱物質の生産。投与開始から6-8時間以内にみられる。
代表的な薬剤:抗腫瘍薬、抗菌薬、バンコマイシン

5) 特異体質反応
個々の薬剤・原疾患に特徴的である、
吸入麻酔薬による悪性高熱、D2受容体拮抗薬による悪性症候群など

(橋本英樹,Medical Practice 33(7): 1099-1104, 2016.
Patel RA, Pharmacotherapy. 2010 Jan;30(1):57-69. )

会員登録していただくとできること
記事を全文閲覧できます。 記事を全文閲覧できます。
記事の全文が検索できます 記事の全文が検索できます。
週1回メルマガが届きます 週1回メルマガが届きます
質問投稿することができます 質問投稿することができます

関連記事

【Q】薬剤熱とはどのようなものか?

【A】書籍や文献により定義は異なりますが、以下のように定義されています。 ・投与量に依存せず、投与から7-10日後に発症し、薬剤中止により72時間以内に消失する熱 (今日の治療指針2019年版) ・薬剤の投与に随...

新着記事

「用時懸濁」指示時における粉末服用の可否は?

【質問】ドライシロップについて。用法に用時懸濁とだけ記載ある場合は、粉のまま服用できる患者だとしても必ず水に溶かしてから服用する必要があるのでしょうか。 テオフィリンDSのように顆粒のままでも服用でき...

亜鉛製剤による銅欠乏リスク:血清亜鉛値が正常でも銅の定期測定は必要か?

【質問】貧血傾向がある方で、ポラプレジンクや酢酸亜鉛などの亜鉛補充の薬を長期的に内服していた場合の銅欠乏の副作用についてどのようにフォローすべきなのかご教示ください。 採血で亜鉛の項目を確認すること...

欠食はSERMの血栓症、活性型VD3の高Ca血症リスクを高めるか?

【質問】欠食は、SERMと活性型VD3製剤の副作用リスク因子となるか。 SERMの静脈血栓症、活性型VD3製剤の高カルシウムの副作用について。 1食抜くと400mlの水分不足となると言われていますが、摂取水分の減少の面...

新着記事をもっと見る