【質問】中枢性尿崩症に対してミニリンメルト錠を内服している患者に「経口もしくは注射のステロイド製剤」を投与する事は併用禁忌に該当するか。
【A】ミニリンメルトOD錠は【25μg・50μg・60µg・120µg・240µg】の6規格があります。この中で、中枢性尿崩症に適応がある規格は【60µg・120µg・240µg】のみです。
添付文書において、ミニリンメルトOD錠【25µg・50µg】の禁忌項目には「経口ステロイド、ステロイド注射薬」の記載がありますが、【60µg・120µg・240µg】には記載がなく、併用禁忌薬に該当しないと考えられます。
ミニリンメルトOD錠の適応は?
【25µg・50µg】 男性における夜間多尿による夜間頻尿
【60µg】 中枢性尿崩症
【120µg・240µg】 中枢性尿崩症、尿浸透圧あるいは尿比重の低下に伴う夜尿症
(ミニリンメルトOD錠 各添付文書)
→適応は各規格によって異なっています。
ミニリンメルトOD錠【25µg・50µg】 の適応は「男性における夜間多尿による夜間頻尿」のみであり、この疾患で使用する場合のみ、併用禁忌となります。
そのため、ミニリンメルト錠を内服している中枢性尿崩症患者に対する「経口もしくは注射のステロイド製剤」の投与は併用禁忌に該当しないと考えられます。
ミニリンメルトOD錠【25µg・50µg】のみがステロイド薬禁忌と設定されている理由は?
機序は不明ですが、ステロイドとミニリンメルトOD錠を併用すると、低ナトリウム血症が発現する可能性があるため、併用禁忌となりました。ミニリンメルトOD錠の中で、「男性における夜間多尿による夜間頻尿」に適応がある【25µg・50µg】 は高齢者での使用が比較的多いと考えられるため、【25µg・50µg】 のみステロイドの併用が禁忌と設定されました。
中枢性尿崩症はどの年代でも発症しますが、小児にやや多いことが報告されています。
併用禁忌
副腎皮質ステロイド剤(注射剤、経口剤、吸入剤、 注腸剤、坐剤)を投与中の患者理由 : 低ナトリウム血症が発現するおそれがある。機序不明。(ミニリンメルトOD錠25µg・50µg インタビューフォーム)
臨床試験において65歳以上の患者で低ナトリウム血症の発現が多く認められたことを理由に、本薬による夜間頻尿の治療を65歳以上から開始することが推奨されていない。一方で、夜間頻尿は、夜間の転倒の危険性等から高齢者で特に適切な治療が望まれていることから、本薬の低用量OD錠である本剤が開発され、2012年に、夜間多尿による夜間頻尿に係る効能・効果で女性では25μg、男性では50μgの用量で、カナダにおいて承認されて以降、2018年12月現在、39の国又は地域で承認されている。(ミニリンメルトOD錠25µg・50µg インタビューフォーム)
→高齢者を主な対象として、夜間頻尿に適応がある低用量ミニリンメルトOD錠【25µg・50µg】が開発されたと記載されています。
機序は不明であるが、海外におけるデスモプレシン経鼻製剤(同種同効薬)の臨床試験において、血清ナトリウム値が125mEq/L以下となった5例のうち4例に副腎皮質ステロイド剤が併用されていた。本剤と副腎皮質ステロイド剤との併用により低ナトリウム血症発現のリスクが増す可能性が否定できないことから米国添付文書において副腎皮質ステロイド剤を併用禁忌と記載し、それに準じて設定した。なお、外用剤等、全身曝露量が経口等と比較して少ない剤形を除く、注射剤、経口剤、吸入剤、注腸剤、坐剤を禁忌の対象とした。(ミニリンメルトOD錠25µg・50µg インタビューフォーム)
→低用量製剤の主な対象患者は高齢者であり、ステロイド併用による低Na血漿が起こりやすいとされています。米国の添付文書に準じて、併用禁忌となりましたが、機序については不明とされています。