【質問】「室温保存」の薬剤について、添付文書の注意点に特記がなければ冷所での保管もさしつかえないのでしょうか?当薬局では粉薬に関しては湿気を考慮して、基本的には冷所は推奨していません。
内服 (錠、カプセル、散、水) だけではなく、外用 (塗布、貼付、吸入、点鼻、点眼) についても、みなさんの意見が聞きたいです。
【A】日本薬局法において「室温」の定義は1〜30°C、「冷所」の定義は1〜15°Cであるため、一般的に「室温」保存である薬剤は「冷所」での保管も可能であると考えられます。
日本薬局方で定める保存条件の定義は以下のとおりとなります。
・室温 1〜30°C
・標準温度 20°C
・常温 15〜25°C
・微温 30〜40°C
・冷所 1〜15°C
(第十七改正 日本薬局方)
https://sagasudi.com/hoki190208/
また、ケタスカプセルのように保存条件が追記で記載されている薬剤もあります。
https://sagasudi.com/seizai281223/
通常の冷蔵庫内湿度は約60%であり、決して湿度が高いわけではありません。
(HOSHIZAKI https://www.hoshizaki.co.jp/p/f-refrigerator/constant-temp/detail06.html accessed 20200630)
ただし、冷蔵庫内と外の温度差が大きいと、急激な温度変化により薬剤に湿気を帯びる可能性があります。そのため、グラシン紙やセロファン紙で分包された散剤などは冷蔵庫保存することを避ける方が望ましいとは考えられます。一方で、PTP包装であれば、大きな問題はないと考えられます。
https://closedi.jp/5587/
以上から、グラシン紙やセロファン紙で分包された薬剤を除いた錠剤や散剤は「室温」保存の薬剤であっても「冷所」保存は可能と考えられます。
水剤や目薬は細菌汚染防止の点から冷所保存が望ましいと考えられます。
塗布剤、貼付剤、吸入剤、点鼻剤は「室温」保存の薬剤であっても「冷所」保存は可能と考えられます。