【Q】浣腸は連用による耐性が生じるか?

【質問】「直腸にしか働きかけない浣腸は連用による耐性は生じない」「経口大腸刺激性下剤は連用により耐性を生じる」といった文献を目にしたのですが、実際浣腸に耐性はあるのでしょうか? 小児に対し、1日に頻回の浣腸を指示されている処方も散見されます。(ストマ閉鎖後など含む)

【A】グリセリン浣腸の添付文書において「連用により、耐性が生じる」と明記されています。
グリセリン浣腸の作用機序は「大腸蠕動運動の促進」と「浸透圧作用による軟便化」であり、「大腸蠕動運動の促進」に関して耐性が生じると考えられます。

浣腸の作用機序は、腸管壁から水を吸収し、腸壁を刺激して蠕動を促進することにより排便を促す。加えて、浸透圧作用により糞便を軟化、潤滑化させる。
(参考 : グリセリン浣腸液50%「ムネ」インタビューフォーム)

→浣腸は、大腸の蠕動運動を促進させることにより排便を促すため、経口大腸刺激性下剤と同様に、耐性が生じる可能性があると考えられます。一方で、浸透圧作用には耐性が生じないと考えられます。

連用による耐性の増大等のため効果が減弱し、薬剤に頼りがちになることがあるので長期連用を避けること。
(引用 : グリセリン浣腸液50%「ムネ」添付文書)

→浣腸の添付文書において、連用により耐性が増大することが明記されています。

 

以下の参考資料の内容を記載します。

グリセリンは組織から水を吸収し、腸壁を刺激して蠕動を促進することにより排便を促す。浣腸剤としてのグリセリンは、吸収されて効果が期待される薬物ではない。通常は薬液注入後5分以内に排便をおこす。
(引用 : グリセリン浣腸液50%「ムネ」添付文書)

 

直腸からの便の排泄が困難な状態で、高齢者、便意の無視・抑制などで起こる。朝食後の排便習慣が重要であり、適度な運動と高繊維食を心がける。薬物に頼りすぎると徐々に薬効が低下し、増量せざるを得なくなるので、日常生活での適度な運動や食生活の改善に積極的に努めるように教育する。
(レジデントノート Vol.12, 2133-2137, 2010)

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